6月20日、中国の李強首相はドイツのオラフ・ショルツ首相との会談で、両国間の協力と人的交流の強化を主張した。しかし、この日にドイツの情報機関が公開した報告書は、中国共産党(中共)による経済と科学のスパイ活動がドイツにとって最大の脅威であると強調していた。
ドイツ連邦憲法擁護庁(BfV)が20日に発表した報告書では、中国の国家保安部がドイツの政治、経済、科学の情報や、ドイツ在住の中国の反体制派の情報を積極的に収集しようとしていると警告している。
さらに、外国の情報機関がドイツをますます標的にし、スパイ活動、サイバー攻撃、偽情報の発信などが「深刻な脅威」を形成していると指摘。特に中国とロシアからの活動に警戒を呼びかけた。
この報告書では、ロシアによるセキュリティ問題も挙げられていたが、最も強く警告しているのは中共であった。ドイツにとって、中共は「経済スパイ活動、科学スパイ活動、外国からの直接投資の面で最大の脅威」とされ、これらの活動がドイツの国家安全保障にリスクをもたらす可能性があるとされた。
情報機関は、外国の情報機関がますますドイツを狙い始めていると述べ、スパイ活動、サイバー攻撃、ディスインフォメーション工作、特に中国とロシアからの活動がドイツに「深刻な脅威をもたらす」とした。
また、報告書は中共の活動がドイツの産業と技術の競争力を危険にさらす可能性があるとし、ドイツが繁栄を失い、民主主義、社会的団結、ドイツの独立性が危険にさらされる」と警告している。
この評価報告書が公開されたのは、中国の李強首相とショルツ首相が会談を行っていた日であり、李首相はドイツと中国の協力を強化するために説得を試みていた。李首相の訪問は、西側と中国の地政学的緊張が高まる中で行われたため、そのタイミングは厳しいものとなった。
ロイター通信によると、ショルツ首相は、ベルリンで李強首相率いる大規模な中国代表団との政府間会談を開催したことで批判を受けている。批判者たちは、西側と中共間の地政学的緊張が高まる中、このような象徴的な意味合いは不適切だと主張した。
ショルツ首相は20日に開催された共同記者会見で、「困難な時期には直接的な対話がより重要になる」と語り、この会談の重要性を強調した。
しかし、記者からの質問を禁止するという記者会見の形式は議論を呼び、これは西側の慣習に反するとされた。ドイツ国営放送のドイチェ・ヴェレは、このようなやり方は中共側の要求によるものと一般的に考えられていると伝えた。
また、同日にEUは経済安全保障計画を発表し、ライバルである中国などが軍事的な目的で使用する可能性のある輸出品や技術の流出に対してより強力な制限を求めた。
ドイツの内務大臣、ナンシー・フェーザー氏は中国の大手通信事業者であるファーウェイの5Gネットワーク装置の使用について、潜在的なリスクがあるとし調査を進めていると述べ、その結果は今年の夏に公表される予定であると伝えた。
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