LGBT関連法案の審議・採決を明日に控えるなか、8日に行われた自民党の代議士会では、採決の際に「党議拘束を外す」よう求める意見が出た。女性の権利侵害などが懸念され、自民党内でも反対を示す議員が多いだけに、会場では「多くの拍手と賛同の声」が上がった。
9日の衆院内閣委員会では、与野党が提出する3法案を審議し、同日採決する予定。いっぽう、女性の権利保護が不十分であり、米国のように世論が分断されることを懸念して、廃案を求める声も大きい。
会議に参加した高鳥修一衆院議員によると、中村裕之衆院議員は、部会で18人の議員が反対・慎重論を述べ、総務会でも退席者が出たと強調、議員立法で3つの法案を審議するのは「異例の事態」であるとして、採決の際の「党議拘束を外す」よう要求した。
会場内には「そうだ!」の声が相当数聞こえたといい、役員会で協議することとなった。
杉田水脈参院議員によると、「LGBT法案については、党内で反対意見が多かった。議論も十分では無い。よって、党議拘束を外すように」との提案があった。「多くの拍手と賛同の声が上がりました」が、「その場で回答は無く、役員会で引き取るとのことでした」と綴った。
衆院内閣委員会で議論されるのは①自民・公明両党がまとめた修正案、②立憲民主党や共産党が推進する超党派議連の法案、そして③日本維新の会と国民民主党が提出した独自案の3本。女性や子供の権利侵害をどう防ぐか、性自認を認めるか、差別行為にどう対処するかなどが主な争点となっている。
医学博士の松本尚(ひさし)衆院議員は、LGBT法案は「わが国の社会、歴史、文化を鑑みて法律がわが国に必要なのかどうかを問うている個人の『内心』に関わるもの」であると指摘。「党議拘束は相応しくない。党役員会の英断を期待する」とツイッター投稿した。
長尾敬前衆議院議員はエポックタイムズの取材に対し「厳しいことを承知で、ダメもとで発言してくださったのではないか」と述べた。党内議論の段階から党議拘束を外した臓器移植法改正の事例を引き合いに出し、「今回はもう既に機関決定が終わっている。変わるという確証はなかったけど、やれることはやるということで、発言されたのではないか」と語った。
その上で、「議員の発言には影響力がある」とし、「衆議院は通過するかもしれない。しかし、そこで何人が造反をするか、本会議で離席をするかが重要だ」と指摘した。
LGBT法案をめぐって、長尾敬氏は7日の番組で、議員立法は「一旦成立したらなかなか改正されない」と懸念を示した。
「一般論だが、落選や引退があるため、提出者がずっと議員であり続けることはない。その後に当選した議員は立法の経過を知らないため、すでに成立した法案がほったらかしになる傾向がある」と述べ、法案成立後に改正を試みる考えは「甘い」と強調した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。