日本と韓国は、防衛やサプライチェーンの強靭化などの重要な分野で連携している。正式な協定と対話の増加を通じて、両政府は情報を共有し、技術貿易の安全保障について協力していると、政府関係者やアナリストは述べている。
「北朝鮮の核・ミサイルの脅威がエスカレートし、世界のサプライチェーンが寸断されるなど、多事多難の今、(韓国と)日本が協力する必要性がますます高まっている」と、韓国の尹錫悦大統領は2023年3月中旬、日本の岸田文雄首相との首脳会談前に述べている。
東京で行われた共同記者会見で、岸田首相は尹大統領のコメントと同様に、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、二国間の安全保障協力を強力に推進する必要性を強調した。
日本と韓国は、上級外交官と防衛当局者による安全保障に関する協議を再開することに合意した。また、情報共有協定を正常化し、外交官による頻繁な非公式訪問を再開することを目指す。
20世紀前半に日本が朝鮮半島を占領して以来、数十年にわたる緊張した関係を経て、今回の協力関係の強化が実現したことになる。
立命館アジア太平洋大学(別府市)の佐藤洋一郎教授(国際関係論)は、情報を共有することで、韓国政府と日本政府が北朝鮮の核・弾道ミサイルの動向を見極めることができると指摘する。
「二国間の緊張緩和により、それぞれの国が米国と実施する軍事演習へのオブザーバー参加も回復している。こうした演習は、韓国と日本の信頼醸成に貢献し、より緊密な三国間安全保障協力への道を開くものだ」と佐藤教授はFORUMに語った。
日本大学の吉富望教授(リスクマネジメント学部)は、今回の二国間首脳会談は防衛関係の再確認だけでなく、経済協力の強化にもつながると指摘する。
陸上自衛隊の退役少将でもある吉冨教授はさらに、「中国を意識した経済安全保障での日米協力の可能性は、大きな成果といえる」とFORUMに語った。
日本や韓国にとって最大の貿易相手国である中国は、インド太平洋地域でその主張を強めており、経済および外交政策上の課題となっている。中国と米国およびその同盟国やパートナー諸国との間の貿易紛争は、状況をさらに複雑にし、コンピューターチップなどの商品の輸入や販売に影響を及ぼしている。
例えば、米国で最近制定された法律は、国産チップの研究開発・生産を促進する一方で、中国が先端チップやチップ製造装置にアクセスすることを抑制することを目指すものだ。さらに、同法は米国の同盟国やパートナーに対して、中国とのコンピューターチップの取引を制限するよう促している。
中国は、日本や韓国にとって、チップやチップ製造機器の主要な市場となっており、コンピュータチップメーカーも、生産コストの削減を目的に中国に工場を構えている。
日本、韓国、台湾、米国は、コンピュータチップの安定的な生産と供給を確保するため、半導体同盟「Chip 4」を結んでいる。
岸田首相と尹大統領は首脳会談で、サプライチェーンの強化や機密技術の漏洩防止など、共通の課題に取り組むことで経済的安全性を高めることに合意した。
日本は、スマートフォンのディスプレイや半導体チップに不可欠な工業用材料の輸出規制を撤廃することに同意している。同時に、韓国政府は日本の優先的貿易相手国としての地位を回復させると発表した。
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