米テキサス州、超党派で中国臓器狩りに立ち向かう 記者会見で医師らが証言

2023/04/07
更新: 2023/04/06

米テキサス州では上下両院で中国共産党による強制的な臓器摘出「臓器狩り」に対抗する法案が提出されている。提出にあたり3月29日に開かれた記者会見では、中国共産党から迫害を受けてきた被害者や医師が同党の野蛮な行為を証言した。

上院法案1040には「臓器狩り(Organ Harvesting)」との言葉が使用されている。この法案は、臓器狩りを行う中国などを供給元とする臓器の移植、またはその国での臓器移植に対して医療給付プランの支払いを禁止する。前回のテキサス州議会で可決された、中国における臓器狩りの慣行を非難する決議に基づいて作られた超党派の取り組みだ。

上院版の法案を提出したロイス・コルホルスト議員は「米国では、臓器提供制度は高い倫理基準を設けている」「法案は(中国による)強制臓器摘出という恐ろしい行為に立ち向かうためのもの」だと強調した。

「オンデマンドの臓器移植」

クリスタル・チェンさんは20代後半だった1999年、中国伝統気功、法輪功を学んでいるという理由で逮捕され、4年以上の強制労働を言い渡された。

「法輪功学習者の母は逮捕後、拷問を受けて亡くなった」「私はコンクリートの床に固定され、塩を混ぜたものを強制摂食され、生死を彷徨った」と不当に受けた迫害を語った。

こうした肉体的・精神的虐待のなかでも、警官らは法輪功学習者への血液検査や心電図を含めた医療検査は欠かさなかったという。

「ひどい拷問を受けたので、これらの検査は健康のために行われたものではない。血液検査は臓器移植のマッチングのためだった」とチェンさん。「私の血液がレシピエント(移植希望者)とマッチしていたら、私は今日ここにいなかったでしょう」。

中国共産党はこうした膨大な臓器照合データベースを構築することで、オンデマンドで海外からの観光客や国内の移植希望者に臓器を販売している。2019年にイギリスで開かれた独立法廷「中国民衆法廷」でも、長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われている」と結論を下した。

「大勢の法輪功学習者からオンデマンドで臓器を摘出する。そうすることで中国共産党は待機時間を短縮し、多くの臓器移植を希望する患者を引きつけることができる」と証言した。

医師の証言

テキサス大学ヒューストンの肝移植プログラムの前医長で、メソジスト病院の元肝臓科主任のハワード・モンスール博士も記者会見で証言した。

モンスール氏が中国の臓器狩りを初めて耳にしたのは約8年前のことだ。米国で臓器移植を断念した患者が、中国での移植について尋ねてきたことがきっかけだった。

「患者は、中国から来た博士課程の学生に8万ドル渡せば、中国で肝臓移植が受けられると言われた。このようなことを聞いたのは初めてだったので少し詳しく教えてほしいとお願いした」

モンスール氏によれば、その患者は、中国で数週間以内に肝臓を手に入れることができると話したという。

モンスール氏は引き留めたが、患者は中国に臓器移植のため渡航した。モンスールに氏よれば、末期癌だった患者は結局死亡したという。

その後、モンスール氏は中国が「拘束した良心の囚人に血液検査を行い、レシピエントに適合するか調べている」ことを知った。

メソジスト病院の元肝臓科主任のハワード・モンスール博士(Minghui)

世界的に権威のある医学雑誌、米国移植学会誌が昨年発表した調査報告は、中国の医師は脳死判定を行わずに臓器摘出していると指摘した。調査報告は中国の臓器移植に関する12万件以上の論文を調査した結果で、医師らが「死刑執行人」になっていると警鐘を鳴らした。

「これらの医師は臓器を摘出するために患者を殺している」とモンスール氏。「この法案は、中国や他の国で起こっている恐ろしい犯罪に、テキサス州の人々が無意識に加担してしまうことを阻止するためのものだ」と述べた。

米議会でも進む法整備

米下院は3月27日、良心の囚人から強制的に臓器を摘出する中国共産党を罰する法案を賛成413、反対2の賛成多数で可決した。

「2023年強制臓器摘出停止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act of 2023)」は、良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する「臓器狩り」に加担した者に制裁を科し、国外で行われた臓器収奪について年次報告書を提出するよう国務長官に義務付ける。

臓器狩りに関与したことが判明した場合、最高25万ドル(約3300万円)の民事罰、最高100万ドル(1億3000万円)の罰金と懲役刑を受けることになる。

法案を提出したクリス・スミス氏は、臓器狩りについて「残虐行為かつ人道に対する罪であり、中国の無実の人々に対する戦争犯罪だ。習近平国家主席は直接的な責任を負うが、これに進んで関与した者も責任を負うことになる」とエポックタイムズに語った。

次のステップ

上院法案1040の次のステップとして、法案投票前に保健福祉委員会が公開証言を聴取する。

「上院法案1040は、テキサス州でコントロールできる資金は、この(臓器狩り)行為に使われないようにするという非常に強い意思表示を示すことになるだろう」とコルホルスト氏は述べた。

受賞歴のある調査ジャーナリスト。主にテキサス州の政治、エネルギー問題、犯罪関連のニュースを担当。ロイター、ダラス・モーニング・ニュース、ブレイズ・メディアなど、多くのメディアで長年にわたる経歴を持つ。サザンメソジスト大学でジャーナリズムの学位を取得