「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」は4日午後に会合を開き、中国臓器狩り問題に詳しい弁護士のデービット・マタス氏を招いて講演を行なった。マタス氏は立法によって渡航移植を規制すべきだと述べ、日本が議長国を務める広島G7サミットでは臓器狩り問題のイニシアチブを取るべきだと訴えた。議連は実態解明と対策に向け政府に提言を行う方針。
マタス氏は臓器狩り問題の調査における第一人者として、長年中国の不透明な移植業界の問題点を訴えてきた。会合では、中国への渡航移植は人権侵害に加担する危険性があるとして、米国やスペインなど先進国における取り組みを紹介し、規制に向けた法整備を行うべきだと主張した。
中国への免疫抑制剤の輸出や移植関連技術の移転については、日本企業も無関係ではないと述べた。政府の取りうる対策として、免疫抑制剤の対中国輸出の禁止、日中友好病院への資金援助の停止、移植関連技術の譲渡の禁止などを挙げた。
マタス氏は、中国の伝統的な気功修煉法・法輪功の学習者たちが中国共産党に拘束され、生きたまま臓器を摘出されていると強調。虐殺により法輪功学習者の数が少なくなると、ウイグル人が拘束されるようになったと述べた。
マタス氏の講演を受け、下村博文元文科相は「海外への移植ツーリズムに多くの日本人が行っていると聞き驚いた。マタス氏による五つの提言について政府に働きかけていきたい」と述べた。さらに、いまだ成立していないマグニツキー法とともに推進していく考えを示した。
医療現場に詳しい三ッ林裕巳衆院議員は、厚生労働省はすでに渡航移植の実態調査に乗り出しており、年内に結果が発表されると述べた。さらに、中国の移植手術には日本製の医療機器が使われる場合があると指摘。人権侵害に加担しないよう、企業のデューデリジェンスを強化すべきだと述べた。
山田宏参院議員は「海外での移植の実態は、2006年に厚生労働省が調べて以来、全く調査が行われていない。まずは厚生労働省に、海外での臓器移植の実態について、特に中国の実態について、定期的な報告を出すよう求めていくべきだ」と強調。海外への渡航移植を受けた患者に対しては、移植手術に関する詳細な情報の提出を義務付けることも考えられると語った。
和田政宗参院議員は中国への移植渡航を禁止すべきではないかと述べた。「臓器移植を受けたい方々は藁にもすがる思いだ」と理解を示しつつ、人権問題の懸念をぬぐえない中国に「(移植のために)行くのは許容できないと思う」とし、国民への認知も広げるべきだと述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。