海外の病院での臓器移植を無許可であっせんしたとして、警視庁生活環境課は9日、NPO法人「難病患者支援の会」(東京)の理事、菊池仁達(ひろみち)容疑者(62)(横浜市都筑区)を臓器移植法違反の疑いで逮捕した。同法の両罰規定に基づき、NPO法人を7日に書類送検した。
臓器移植の無許可あっせん容疑での逮捕は全国初となる。警視庁は家宅捜索で患者のものとみられる約150人分の名簿を押収しており、活動の実態を調べている。
警視庁によると、菊池容疑者は厚生労働相の許可がないにもかかわらず、肝臓移植を希望する東京都内の男性患者の親族に早期の渡航移植を勧めた。昨年2月10日ごろ、ベラルーシ国内の病院で死体から摘出された肝臓の移植手術を受けさせた。患者側からは渡航移植費用の名目で現金3300万円を法人口座に振り込ませていた。
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NPO法人「難病患者支援の会」は2007年6月に設立された。ホームページによると、発展途上国を中心に170件以上の案内をしてきた。横浜市港北区にある法人の事務所で親族に勧めた際、「ベラルーシかウズベキスタンかキルギスの3カ国のいずれかで臓器移植を受けるが、生体(移植)はあり得ない」「ギリギリの数値だから早くしたほうがよい」と急がせたという。
移植を受けた男性はその後体調が悪化し、帰国後、家族から生体肝移植を受けたものの回復せずに死亡した。
臓器の無許可あっせんは臓器移植法で禁止されており、違反すれば1年以下の懲役か100万円以下の罰金、または両方が科される。NHKなどによると、菊池容疑者は調べに対し容疑の一部を否定している。
国際移植学会は2008年、必要な臓器は自国で確保する努力をすべきだとする「イスタンブール宣言」を発表。日本も署名しているが、この宣言に法的拘束力はない。国際移植学会に加盟するイスラエル、スペイン、台湾などでは臓器売買に加え、臓器移植ツーリズムはすでに法律で禁止されている。
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