あいさつは「陽性になった?」答えによっては差別されるかも【現代中国キーワード】

2023/01/11
更新: 2023/01/25

陽了嗎?】

中国での日常的なあいさつは、ニーハオよりも「吃飯了嗎?」が多い。「ごはん食べた?」である。

中国人にとって「食」は最重要の課題である。中国の歴史が飢餓と流民の繰り返しであったことに加えて、1950年代の終盤には、毛沢東の暴政により数千万人が餓死した経験もその遠因になっているだろう。

ただ、慣習化した日常語については、中国人は全く無意識に使っていることが多い。

そのため、何の悪気もなく相手の個人生活に探りを入れてくる。日本人としては困惑することが多いが、こればかりは慣れるしかない。ただ「日本人は給料いくらか?」を百回ぐらい聞かれると、さすがに他に関心はないのかと言いたくもなる。

最近では「陽了嗎?(ヤンラマ)」つまり「もう陽性になった?」が中国人のあいさつになっている。

解説すると「コロナ陽性になり、大変だったろうけど、もう回復して、めでたく抗体を得たかい?」の意味なのだ。

これが日常のあいさつだけで済めば良いが、少々気になる動画を目にした。

例えば、中国の理髪店や飲食店で店側が客にこれを聞き、もし客が「まだ陽性になっていない」と答えると、その客は入店が拒否される場合もあるらしい。

客は不当に差別されたと感じるが、店にしてみれば「感染防止の必要性からだ」と言うだろう。

「もともと、その人は自然免疫力が強くて感染しなかった」ということを店側(というより中国社会)が考えられる余裕は、残念ながらないようだ。