イタリア、中国との「共同パトロール」停止…中国の海外警察署めぐり

2022/12/20
更新: 2022/12/20

中国が国外に非公式に設置している海外警察署をめぐり、イタリアは中国警察官との「共同パトロール」を停止すると発表した。マッテーオ・ピアンテドージ内務相が19日付の現地紙「イル・フォッリョ」とのインタビュー記事の中で明らかにした。

スペインの人権団体「セーフガード・デフェンダーズ」は5日に発表した報告書のなかで、中国当局とイタリア政府は2015年に共同パトロール関する二国間協定を締結したと指摘した。ローマやミラノなどに11の海外警察署が設置されており、イタリア警察は2016年から2018年にかけて中国警察と共同パトロールを行っていたという。

報告書には、中国当局がイタリアに中国警察監視モデルを輸出し「中国人居住区にビデオ監視システムを追加していた」とも記されている。

ピアンテドージ氏は「(協定は)当初、中国機関と連携した利便性を期待していた可能性がある」と述べた上で「現在協力関係は、もはや行われていない」と強調した。

中国当局は海外警察署について、国外在住の中国人にパスポートや免許証の更新といった行政手続きを提供していると主張しているが、異論を唱える人権活動家などの帰国を迫る拠点になっていると指摘されている。セーフガード・デフェンダーズによれば、海外警察署は「中央統一戦線工作部」の活動とも関連しているという。

世界53カ国に少なくとも102カ所設置されている海外警察署をめぐり、米国や豪州などが調査に乗りだしている。米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は11月、上院の委員会で中国非公式警察について「主権を侵害し、標準的な司法および法執行の協力プロセスを回避している」と強い懸念を示した。

米国をはじめ国際関係担当。