アイルランド外務省はこのほど、首都ダブリン市中心部にある中国警察の「海外派出所」に閉鎖を命じた。人権弾圧に加担する恐れがあるとの報告書が出されており、政府が調査に乗り出していた。
中国警察の派出所は、ダブリン市内のオフィスビルに設置されている。福建省福州市公安局の管轄下にあり、今年初めから運営を開始した。
中国当局は今年1月、21カ国の25都市に30の海外派出所を開設した。中国大使館は、海外派出所は中国人の運転免許証の更新などの行政手続きに特化していたと主張している。
中国の海外派出所をめぐってはここ数カ月、各国に設置されていることが発覚し、物議を醸している。スペイン拠点の人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が9月に発表した報告書によると、海外派出所は中国人移民を「説得」して帰国させたり、海外の人権活動家や中国民主活動家への越境弾圧などに関与したりしているという。
メディアの報道を受けて、アイルランド政府は調査に乗り出した。同国外務省は2日の声明で、中国当局や福建省福州市の関係者から派出所設置の許可を求められたことはないと明らかにした。そして、海外派出所を閉鎖し、業務を停止するよう中国大使館に通達したという。
オランダ政府も最近、同国内にある2つの派出所を調査すると発表した。
アイルランドに滞在する中国人のうち、福建省福州市の出身者が高い割合を占めるとされている。
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