米司法省、中国情報員ら13人を訴追 「二重スパイ」で発覚

2022/10/25
更新: 2022/10/27

米司法省は24日、司法妨害やスパイ活動に関与したとして、3つの事件で中国情報機関の職員や当局者13人を訴追・起訴したと発表した。

13人は米国に住む中国反体制派の強制送還の画策や中国の通信機器大手企業への捜査妨害、中国共産党の情報およびセキュリティ組織のエージェントとして不法に行動したとして起訴された。

メリック・ガーランド司法長官は、これらの事件は「中国政府が米国内の個人の権利と自由を妨害し、そうした権利を保護するわれわれの司法制度を弱体化させようとした」と指摘。「米国の法の支配を損なおうとするいかなる外国勢力の企ても容認しない」と述べた。

「賄賂」にビットコイン 捜査妨害

一つ目は、中国の通信機器大手企業の捜査を妨害した事件だ。司法省の資料によると、中国情報機関の情報員2人は米政府の職員にビットコインなど6万1000ドル相当を支払い、捜査の機密情報を得ようとした。司法省は企業名を公表していないが、ブルームバーグなどは華為技術(ファーウェイ)だと報じている。

中国情報員の2人は2017年から米政府職員に接触していた。「米国の国家安全保障に深刻な損害を与え得る」極秘文書などを入手して、中国側に送っていたという。しかし実際は、米政府職員が連邦捜査局(FBI)の「二重スパイ」で、機密情報に見せかけた偽造文書を中国情報員の2人に渡していた。

司法省によると中国情報員2人の身柄は確保できておらず、FBIは指名手配している。2人は有罪判決を受けた場合、ひとりは最大60年の懲役、もうひとりは最大20年の懲役に処されるという。

米大学に侵入し中国コミュニティを支配

このほか、司法省は米国内の学者に対して中国政府に協力するよう圧力をかけたとして、国家安全保障省の情報員4人を起訴した。

司法省によると、情報員は国際問題研究所の学者を装い、大学教授らに情報提供を求めたほか、指紋採取技術やデータの窃盗を企てていた。この活動は2008年までさかのぼり、中国共産党のために活動する米国内の個人をターゲットにして勧誘する組織的な活動の一部であるとされる。

国境を越えた弾圧

上記2つの事件に加え、司法省は米国在住の反対派に嫌がらせを行い中国に帰国を強要する中国共産党の「キツネ狩り」作戦に関与したとして7人を訴追した。

FBIのクリストファー・レイ長官は声明で、裁判妨害や機密情報の窃盗などを目論む中国共産党の情報員らの起訴によって「米国内の非道な振る舞いを再び明らかにした」と述べた。また、「FBIはパートナーや同盟国と協力し、防諜と法執行の権限を最大限活用して、中国政府による企業、大学、中国系米国人コミュニティに対する犯罪を阻止する」と強調した。

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。