[ワシントン 12日 ロイター] – 米ホワイトハウスは12日、ウクライナ危機の発生で先送りしていた国家安全保障戦略を発表した。中国の台頭を抑える一方で、民主主義国家が直面する課題に同盟国と協力して取り組むことの重要性を改めて強調した。
48ページにわたる文書では大きな見解の変更はなく、バイデン政権の外交政策に関する新たな主要方針も含まれなかったが、気候変動や独裁的な政権の台頭といった世界的な脅威を克服するためには米国のリーダーシップが重要と強調した。
また、ロシアによるウクライナ侵攻後も中国が世界秩序に対する最重要の課題と指摘。米国が世界的な影響力を維持するためには、中国との経済的・軍事的競争に勝利しなければならないとした。
概要を説明したサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は「米国が米中間の競争を責任を持って管理することを確約し続けている一方、中国は世界の競争条件が自国に有利になるよう国際秩序を再構築する意図を持ち、その能力を高めている」と述べた。
その上でサリバン氏は、米国は中国との関係を管理しながら、気候変動、食料不安、伝染病、テロ、エネルギーの移行、インフレなど世界中の人々に影響を与えている国境を越えた一連の課題に対応する必要があるとした。
また、ウクライナ危機はバイデン氏の外交政策へのアプローチを遅らせたが、「根本的に変えた」わけではないとし、「同盟国重視や民主主義世界の影響力強化の重要性、民主国家および民主主義的価値のために立ち上がることなど、われわれのアプローチの主要な要素が現実世界で示された」とした。
オバマ政権下で東アジア担当国務次官補を務めたダニエル・ラッセル氏は今回の安保戦略について、バイデン氏が優先事項と明言している国内活性化や同盟国との関係強化といった方針に整合的な内容と指摘。中国との競争にかなりの軸足が置かれたと指摘した。
一方、安保戦略の北朝鮮に関する言及は、核・ミサイル開発を抑止するための米国の選択肢は限られていると強調する部分のみにとどまった。
ラッセル氏は、北朝鮮に関して実存的な脅威にほとんど触れておらず、北朝鮮が対話拒否の態度を鮮明にする中で「非核化への持続的対話を追求」する姿勢を示したことは意外だったとした。
ジャック・リード上院軍事委員長は、安保戦略の公表を歓迎し、「米軍の近代化と強化の必要性を認める」内容との見方を示した。
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