在イタリア中国大使館は8月末、イタリアの週刊誌パノラマ(Panorama)が中国共産党による臓器収奪問題を報じたことを「強く非難する」との声明を出し、「(報道記事による)影響を払しょくするよう」要求した。米議員や国際人権団体は中国大使館の報道への干渉を批判した。
米国のクリス・スミス下院議員は9月20日、ワシントンDCで開かれた人権問題の集会に参加した際、中国大使館の行為は「報道機関への脅迫にあたる」と大紀元に語った。
議員は、「中国大使館は報道関係者への嫌がらせを直ちに停止する必要がある」と述べた。中国共産党による法輪功学習者やウイグル人住民への強制臓器摘出に関して「各国の主要メディアは引き続き調査し報道してほしい。各国の臓器移植手術を必要とする国民がどのような方法で臓器を入手したのか解明しなければならない」と話した。
在イタリア中国大使館は8月28日にウェブサイト上で、パノラマ誌の報道に反論しただけでなく、米国NPO「共産主義犠牲者記念財団(VOC)」についても「中国に汚名を着せようとしている」などと強い言葉で非難した。
VOCスポークスマンのミハエル・ハルマタ氏は、「VOCは中国共産党の偽情報と妨害を黙認することはできない」と示した。
同氏は、VOCの調査員らが行った独立調査により、中国の医師らが臓器移植のために囚人から心臓を違法に摘出し、囚人らを死亡させたのは事実だとした。
ハルマタ氏はまた「在イタリア中国大使館が事実を曲げて意図的に難癖をつけるのは、今回が初めてではない」と述べた。
法輪大法情報センターのリーバイ・ブラウデ事務局長は、「中国政府のパノラマ誌への報道干渉には驚かない。中国政府は過去20年間すべてのリソースを使って、世界的範囲で法輪功を中傷し、法輪功学習者を抑圧してきたからだ」と語った。
国際人権NGO「中国での臓器移植濫用停止国際ネットワーク(ETAC)」の法務担当者、エレノア・スティーブンソン弁護士は、在イタリア中国大使館の反論は「乱暴で」、「誤解を招く」ものだと批判した。
「中国では国民による自発的な提供が合法的な臓器移植の唯一の供給源である」などを含む大使館の主張には、「いかなる証拠や事実も出ていない」とスティーブンソン弁護士は指摘した。
ETACは、中国政府による臓器狩り問題を調査するために独立民衆法廷「中国法廷」を設立し、中国政府に対して関係者を派遣し証言するよう求めていた。しかし、スティーブンソン弁護士によると、中国政府の関係者が中国法廷に出席したことは一度もない。
2020年3月、中国法廷は「強制臓器摘出は長年にわたり中国全土で大規模に行われている。法輪功学習者は臓器の供給源の一つであり、主要な供給源であると結論付けた」と発表した。
パノラマ誌は8月24日、『中国:国家があなたの臓器を欲するとき』と題する記事を掲載した。
28日の中国大使館の非難声明を受けて、同誌は直ちに『中国は臓器移植に関する医療倫理規定に違反』と題する別の記事を公表し、「中国政府は刑務所に拘禁されているウイグル人、法輪功学習者、数千人にも上る政治犯に関して嘘をついている。また最初からCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染実態を隠していたことも忘れないように」と読者に呼びかけた。
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