米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、大量破壊兵器(WMD)の資金調達に利用される口座を凍結する制裁を導入した。
仮想通貨を利用して大量破壊兵器および弾道ミサイル計画のための不正な収益を生み出すことは、インド太平洋全体、特に北朝鮮において増加傾向にある。 米国財務省によると、Blender.io (ブレンダー)やトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)などの北朝鮮政府が利用する仮想通貨ミキサーは、発祥地、目的地、取引相手を曖昧にすることで、違法な取引を容易にしている。
これらは複数のトランザクションを混在させたものを送金することから、追跡が困難となっている。 ブレンダーはビットコインを、トルネード・キャッシュはイーサリアム(ethereum)を主に取り扱っている。
米国財務省によると、ブレンダーは2017年に設立されて以来、718億円相当(5億米ドル)を超える資金を送金しており、トルネード・キャッシュは2019年の設立以来、1兆億円相当(70億米ドル)を超える資金を洗浄している。
「違法な取引を支援する仮想通貨ミキサーは、米国の国家安全保障に脅威をもたらす。 我が国は北朝鮮による違法な金融活動に対する措置を講じており、国家が動員する窃盗行為とその資金洗浄を助長する者を制裁する」と、ブライアン・E・ネルソン(Brian E. Nelson)テロ・金融情報担当国務次官は述べている。
米国および国連安保理から制裁措置を受けている北朝鮮は、大量破壊兵器計画や弾道ミサイル計画の資金調達に通貨ミキサーを利用している。
北朝鮮関係者はこれまで、ブレンダーを使用して29億5,000万円相当(2,050万米ドル)以上を洗浄し、トルネード・キャッシュを使用して133億円相当(9600万米ドル)以上を洗浄している。 外国資産管理局は2022年5月にブレンダー、2022年8月にトルネードキャッシュに制裁を課している。
米国財務省によると、罰則下では、米国内の、または米国市民が所有または管理するミキサー口座はブロックされ、外国資産管理局の監督下に置かれる。
さらに、米国市民またはOFACの制裁下にある個人が50%以上所有するブレンダーまたはトルネードキャッシュで運用する企業は、取引を行うことが禁止される。
財務省は「大部分の仮想通貨取引は合法だが、ミキサー、ピアツーピア業者、ダークネット市場・取引所をつうじた制裁回避を含む、違法な取引に利用される可能性がある」とした上で、 「これには、ハイスト、ランサムウェア・スキーム等のサイバー犯罪の助長が含まれる」と述べた。
外国資産管理局はまた、こうしたサイバー犯罪を行っているとして、北朝鮮政府が支援するハッキング組織のラザルスグループ(Lazarus Group)に対して制裁を課している。 ラザルスグループは、2016年のソニー・ピクチャーズへのハッキングに関与したと見られており、ハッカーは大量のデータをソニーのサーバーから盗んだ後、データを全削除した。
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