新型コロナの蔓延に伴う学校閉鎖やリモート授業により、米国小学生の学力が著しく低下し、20年前の水準に逆戻りしたことが最新の調査で明らかになった。この傾向は低学力の生徒ほど顕著に現れており、教育当局の対応が求められている。
全米教育統計センター(NCES)は1日、全国410の学校に所属する9歳の生徒約15000人を対象とする調査結果について、直近の2年間で読解力と算数の平均点が急落し、読解力は2004年、算数は1999年の水準に戻ったと発表した。算数については、1970年代に学力調査が始まって以来、初めてスコアが下がった。読解力も、1980年代以来もっとも大きい下がり幅を記録した。
NCESは新型コロナウイルス感染拡大の影響を分析するため、調査期間を4年から2年に縮め、感染拡大前の2020年及び2022年に全米で学力調査を行った。
コロナ禍では、感染対策として学校閉鎖や断続的なリモート授業が行われ、生徒は交流の少なさからくる孤独感を覚えていた。
NCESの責任者であるペギー・カー氏は8月31日の記者会見で、成績上位層と下位層の学力差がコロナ禍によるさらに大きく開いたと指摘、調査結果を真剣に受け止める必要があると述べた。
「最上位層と最下層の学力格差は依然として広がっているが、状況が異なる。全員一律に学力低下しているなかでも、特に最下層の生徒の低下速度が著しい」
米教育省のミゲル・カルドナ長官は1日、CNNの取材に対し、対面授業の減少が著しい学習能力の低下を招いていると指摘、「かなり憂慮すべき事態」だと強調した。そのうえで、対面式授業に焦点を当てて取り組まなければならないとし、生徒の学力の回復が急務だと訴えた。
(翻訳編集・王天雨、Wenliang Wang)
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