グレッグ・マーフィー米議員(共和党)は、中国共産党の利益を推進するなど、米国に敵対的な企業からの投資撤退を促す「敵対者からの寄付金保護法」を提出した。制裁リスト入りを含む中国企業からの寄付や支援に100%の税率をかけ、一流私立大学との金銭関係を断つ試みだ。
20日に発表されたこの法案が可決されれば、商務省企業リストなど米国政府の制裁リストに加えられたすべての企業には、投資元本の50%の物品税が課され、その投資から得られた利益には100%の課税されることになる。
10億ドル以上の寄付金を持つ私立大学が対象となる。米国にはハーバード大学(530億ドル)、イェール大学(420億ドル)、プリンストン大学(370億ドル)、マサチューセッツ工科大学(270億ドル)など約80校が存在する。
新興メディアのバズフィードは2019年5月、中国共産党政権が大規模監視ネットワークの構築に協力する、大手ビデオ監視機器メーカーの曠視科技(メグビー)の投資に、プリンストン大学とマサチューセッツ工科大学の寄付基金が使用されていると報じた。同年10月、トランプ政権は、このソフトウェア企業が中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害に関与しているとして、メグビーを「エンティティリスト」に追加した。
マーフィー氏は、法案発表の声明の中で「10億ドルもの税制優遇を受けているこれらの大学基金には、米国の安全や安全保障に有害な企業から手を引く道義的義務がある」と述べている。
国際情勢に不安定化要素が加わり事態の予測が困難になる中、一部の米エリート校はすでに特定の企業や産業の投資から撤退している。2021年9月ハーバード大学は、脱炭素経済に向けた変化を加速させるために、化石燃料への投資をやめることを決定した。3月初旬、ロシアがウクライナに対して本格的な軍事作戦を開始した数日後、イェール大学は、その正確な金額の開示を拒んだものの、ロシアの資産への投資をすべて辞めたと発表した。
いっぽう、「こうした大学は中国との金融案件において、問題のある中国投資に対して投資撤退しようという意思を見せていない」とマーフィー議員は語っている。
同議員は、「残念ではあるが、米国の安全保障に対するリスクと知られている中国企業を追い詰めるためにも、それらの大学に対して同じアプローチを取るよう強制する必要がある」と述べている。
6月、マーフィー氏は、寄付金の受取額が多い私立大学15校に書簡を送り、米国政府の制裁リストに載っている企業に対して、寄付金を投資しているかどうかを明らかにするよう要請した。また、これらのリストに追加された事業体からの資産売却について、どのような方針をとっているかも尋ねた。
「私の書簡に返信してくれた学校の少なくとも75%は、我が国の安全保障にとって危険とみなされる団体に接触している。これは全くもって容認できない」とマーフィー氏は述べている。
マーフィー氏と共に、下院議員のブラッド・ウエンストラップ氏、アドリアン・スミス氏、ロイド・スマッカー氏、ダリン・ラフッド氏、ニール・ダン氏が法案の共同提案者となった。
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