駐フィジー中国大使館の武官2人が12日、開催中の「太平洋諸島フォーラム」年次総会に無断参加し、現地警察に強制退場させられた。この日、カマラ・ハリス米国副大統領は会議でビデオ演説を行った。英紙ガーディアンが13日伝えた。
現地の民族衣装を着用した2人はメディア関係者と一緒に座っていたが、ガーディアン紙で会議を取材しているフィジー人の記者であるLice Movono氏は、そのうちの1人と面識があったため、中国大使館の関係者だとすぐ分かった。
Movono記者によると、この関係者と少なくとも3回顔を合わせたことがあるという。中国の王毅外相が5月末、フィジーの首都スバを訪問した際、この関係者の指示でMovono記者はイベントから排除されたという。
Movono記者は、「あなたは中国大使館の職員として、あるいは新華社の関係者としてここにいるのですか」と尋ねた。すると彼は、まるで英語が話せないことを示すかのように首を横に振ったという。
通報を受けたフィジー警察はその後、2人を会場から連れ出した。
フィジーの外交筋は後に、2人が駐フィジー中国大使館の武官と副武官であることを確認した。
米中両国は、太平洋の島しょ国などで作る「太平洋諸島フォーラム」のメンバー国ではなく、パートナー国である。パートナー国は通常、フォーラム後の対話会議に招待され、プレゼンテーションを行う。今年はフォーラムの期間中にパートナー対話会議は開催されない予定である。
ただ、米国は今回、招待を受け、オンライン形式で太平洋諸島フォーラムに参加した。これは米国外交の勝利とみなされ、同地域で影響力の拡大を狙う中国にとって大きな痛手となった。
中国の王毅外相は5月30日、フィジーを訪問し、太平洋の島しょ諸国との外相会議で、安全保障面での連携強化をうたった協定の締結を提案したが、合意に至らなかった。
いっぽう、ハリス氏は12日の会議で特定の国を名指しせずに、国際的なルールに基づく秩序を損なおうとする者に対し「団結」するよう各国に呼びかけ、同地域に対する米国の支援を現在の3倍に拡大すると表明した。中国が念頭にあるものとみられる。
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