北朝鮮の一連のミサイル発射実験で幕を開けた2月中旬、アントニー・ブリンケン米国務長官がハワイで日本の外相と韓国の外交部長官と対面会談を実施し、核武装した北朝鮮によりもたらされる脅威について協議した。
ブリンケン国務長官は会談後の共同記者会見で、北朝鮮は「現在はまだ挑発の段階」にあるとし、今回外相会談に参加した同盟3か国は最近の北朝鮮のミサイル発射実験を非難する姿勢で一致したと述べている。
林芳正外相と韓国の鄭義溶(Chung Eui-yong)外交部長官との会談後に、「日米韓はアプローチと決意という点で完全に合意に至った」と発表した同国務長官は、北朝鮮に対する今後の対応について、3ヵ国が「非常に緊密に協議していく」とも表明している。
3ヵ国の官僚が発表した共同声明には、北朝鮮に対して「違法行為」の停止と対話再開を促す内容が含まれており、各国共に北朝鮮に対する敵対的な意図はなく、前提条件なしに同国当局と対話することに前向きな姿勢を示している。
林外相は日米韓が北朝鮮について「非常に実り多い」議論を行ったと述べている。 長年にわたり北朝鮮にはミサイル発射や核実験といった挑発行為を利用することで、国際社会に制裁緩和を求めるという傾向がある。数十年にわたる不適切な政策や米国主導の制裁により低迷していた経済に追い打ちをかけるように発生したパンデミックに伴う国境閉鎖のせいで相当の打撃を被っているにも関わらず、北朝鮮は再びミサイル実験を繰り返した。
こうした一連の発射実験は制裁緩和を狙ったジョー・バイデン米政権への圧力と見る向きがあるが、北朝鮮が核開発計画を有意義な形態で停止しない限り制裁緩和を実施する意図はないと見られる米政権側は、現在も北朝鮮に対して開放的な対話を促している。
しかし、米国を敵対的な監視国であると主張する北朝鮮は、米国が態度を緩和しない限り対話の再開はあり得ないとして米国の外交による解決の申し出を拒絶している。
しかも実験を繰り返すことで北朝鮮は武装力を強化しつつある。最近、同国は米国グアム準州を射程に収める「火星12」中距離弾道ミサイルの実験も実施している。同ミサイルの発射は2017年以来で、これは同国が発射した最長距離の兵器となる。
最近繰り返された発射実験により、日本と韓国の懸念が一段と高まった。2022年1月、文在寅(Moon Jae-in)韓国大統領は同実験が国連安全保障理事会(国連安保理)決議違反に当たるとして非難を表明し、北朝鮮に対して「緊張と圧力を高める行動」を慎むよう要請した。
北朝鮮が初めて地下核実験を行ったと発表した2006年に国連安保理は同国に制裁を科したが、度重なる核実験および同国の核・弾道ミサイル計画の進展に伴い、制裁措置が経時的に厳格化されている。
林外相と鄭外交部長官はハワイで日韓会合も実施している。日本外務省の発表によると、両国は北朝鮮への対応と地域の安定化を達成する上で、日韓の協力体制および日米同盟と米韓同盟の重要性を再確認している。
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