[ジュネーブ 11日 ロイター] – 国際労働機関(ILO)の委員会は10日発表した報告書で、新疆ウイグル自治区での中国の政策について「深い懸念」を表明し、差別的であるとした上で中国政府に対し雇用慣行を世界標準に合わせるよう求めた。
新疆ウイグル自治区に関するこの報告は、中国が冬季五輪を開催する重要な時期に、中国と米国の間の地政学的な緊張を高める可能性がある。
米国は中国の大量虐殺を非難し、他の西側諸国とともに新疆ウイグル自治区のウイグル人への対応を巡り五輪の外交ボイコットを行った。権利侵害の主張には、中国による強制労働や囚人労働といったILOの委員会が審査するものも含まれている。
中国はこの申し立てを否定している。
ILOの報告書によると「委員会は、多くの国・地域の政策・規制文書に表明されている政策の方向性に関して深い懸念を表明し、あらゆる区別立てや排除または選好を取り除くために、政府に対し国・地域の政策を見直すよう要請する」としている。
具体的には、新疆ウイグル自治区の「企業や労働組合に脱急進化の義務を課す」条項を廃止し、政治的再教育の条項を修正するよう中国に求めている。
中国の外務省とジュネーブの外交団は11日、コメントの要請に直ちに応じなかった。米国と英国は委員会の調査結果を歓迎し、中国政府に対してILOの委員会が要求する措置に取り組むよう求めた。
ILO当局者はロイターに対し、今回の申し立ては6月に開かれる主要会合で提起されると明らかにした。
これによって正式な申し立てとなり、現場での虐待を調査するための委員会が設置される可能性がある。
中国政府は報告書の中で、今回の申し立てを「真実ではなく、政治的に動機づけられたものだ」と主張している。
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