香港トップなどに制裁要求 欧州議会、決議を採択 北京五輪ボイコットも

2022/01/24
更新: 2022/01/24

欧州議会は20日、香港での人権弾圧に加担した中国・香港の当局者や企業に対して制裁措置を求める決議を賛成多数で採択した。中国共産党による香港国家安全維持法の導入や選挙制度の変更など、香港の発展を支えてきた高度な自治権と法の支配を揺るがしていると懸念を表明した。

欧州議会は表現や報道の自由を弾圧し、民主派勢力の排除を進めたことを「最も強い言葉で非難する」と指摘。すべての政治犯を釈放し、逮捕された反体制派の告訴を取り下げるよう香港政府に求めた。決議は、賛成586票、反対46票、棄権41票という圧倒的多数で採択された。

人権を侵害した香港政府トップの林鄭月娥行政長官や中国共産党政権の複数の高官、および企業に対して「グローバル人権制裁制度」(EUマグニツキー法)に基づき資金凍結やビザ停止などの制裁を科すよう加盟国などに求めるとした。

また決議は人権状況の悪化を鑑み、北京冬季五輪へ外交団を派遣しない「外交的ボイコット」を行うよう欧州委員会や加盟国に求めた。同議会は昨年7月にも、香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に、五輪の招待を辞退するよう外交団に求める決議を採択している。

反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が2020年に施行されて以降、逮捕者は一年で100人を超えた。民主派香港紙「蘋果日報(リンゴ日報)」やネットメディア「衆新聞」が相次いで廃刊に追い込まれ、メディアへの締め付けが急速に強まった。香港記者協会の2020年の発表によると、「報道の自由度」の指数が過去8年間で最悪の結果になったという。

先月行われた香港立法会議員選挙では、中国の習近平指導部が主導して変更した選挙制度が導入され、親中派が圧勝した。

法案立案者のペトラス・アウシュトレビチュウス議員は「(中国)共産党の強力な支配により、反対派への政治的迫害が強まり、民主主義の構造が組織的に解体された」と指摘。一方的に「原則」を押し付けてくる中国共産党に「欧州連合(EU)は直ちに断固とした行動を取らなければならない」と訴えた。

 

米国をはじめ国際関係担当。