米鉄道貨物の盗難急増 ロサンゼルスの被害は356%増

2022/01/18
更新: 2022/01/18

散乱する空き箱、線路上を埋め尽くすゴミ。米カリフォルニア州のロサンゼルスで鉄道貨物の盗難が相次いでいる。米貨物鉄道大手ユニオン・パシフィックは先月、ロサンゼルス郡の検察当局に宛てた書簡で、事態の改善が見られなければ同郡内の運行を回避する可能性を示唆した。

書簡によると、ロサンゼルス郡での盗難件数は昨年10月、前年同期比で356%増を記録した。アマゾンやフェデックスなど米大手通販・運送会社の荷物が被害に遭っていると述べ、緩慢な刑事訴追のあり方を非難した。

同郡では昨年9~12月、1日平均90個以上のコンテナが破壊された。窃盗団は武器を持っており、従業員に暴行を加えることもあったという。

同社は書簡のなかでドローンや検知システムを使った防犯対策に務めてきたが「ロサンゼルス郡の刑事司法制度では問題は解決していない」と訴えた。逮捕者は24時間内に釈放されているとの現状にも触れた。

「犯罪者は拘束・逮捕されても軽犯罪として扱われ、わずかな罰金を払って釈放されている」「実際、犯罪者は警備員に逮捕されても重大な結果にはならないと自慢げに話している」ともどかしさを綴っている。

ユニオン・パシフィックは昨年の被害総額を約500万ドル(約5億7000万円)と推計。「犯罪者に責任を負わせ、従業員と重要な地域および国の鉄道網を守るための司法制度を必要とする」と政策の見直しを求めた。

カリフォルニア州では2014年に市の法律が改正され、被害額が950ドル以下の窃盗は軽罪に分類されるようになった。その結果、警察が万引きを取り締まらなくなり、同法が施行されてからロサンゼルス市警に寄せらせた1年間の万引き報告件数は25%増加した。

米国をはじめ国際関係担当。