カナダのサントンジュ・スポーツ相は13日、北京冬季五輪に参加するカナダ選手団に対し「訓練の一環」としてサイバーセキュリティ対策を指導していることを明らかにした。
通信社カナダプレスの取材に応じたサントンジュ氏は、中国における電子機器のスパイウェア感染の危険性を含め「中国共産党のネット検閲に十分注意するように」と選手に警戒を促しているという。
「中共によるスパイ行為に関連するすべての問題をよく認識している」とサントンジュ氏は述べ、選手に対する万全な保護計画があると付け加えた。問題に直面した場合はカナダの外交的な支援を可能にするという。
国際オリンピック委員会(IOC)はカナダ代表団を含む全選手に対して、五輪大会期間中に使用する携帯電話およびSIMカードを配布する。
中国共産党による人権弾圧を理由に、カナダなど米国の同盟国を中心に複数の国が北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を表明した。
サントンジュ氏は「カナダは正しい決断をした。他の国も同じ戦略をとっている」と述べるいっぽう、「中国の人権問題は進行中の課題であり北京五輪開催の是非で解決できない」と問題の深刻さを強調した。
2019年、米国の求めに応じてカナダは中国IT大手ファーウェイ副会長をバンクーバーで拘束。報復的に中国当局は2人の中国在住カナダ人を捕らえた。以降、両国関係は著しく冷え込んだ。それぞれ昨年に母国へ帰還している。
最近の世論調査では、カナダ人の77%が貿易関係よりも「人権と法の支配」を重視し、中国共産党政権の印象について84%が「よくない」と回答した。