ロシア国防省は11月29日、2度目となる極超音速巡航ミサイル「ツィルコン(3M22、Zircon)」の発射実験に成功したと発表した。米中露による極超音速兵器の開発は白熱化の様相を呈している。
公開された短い動画からは、眩しい閃光と共にミサイルが発射されたことが確認できる。発表によると、「ツィルコン」巡航ミサイルはロシア北西部の白海に配備されたフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ(Admiral Gorshkov)」から発射され、約400キロ離れた標的に命中したという。
プーチン大統領は11月、「ツィルコン」は来年にも配備されるだろうと発言した。今回の発射実験は、来年に予定されている実用化に向けた取り組みの一環として行われた。
ロシアは10月にも潜水艦から「ツィルコン」を発射する実験に成功したと発表した。部隊配備されればロシア軍の攻撃能力が大幅に向上すると見られている。
一般的に極超音速兵器は音速の5倍(時速約6100キロメートル)以上で飛行するミサイルと定義されており、既存のミサイル防衛システムによる検知と迎撃が困難な新兵器として注目を集めている。
極超音速滑空体をめぐっては、中国が今夏、核弾頭を搭載可能な極超音速ミサイルの発射実験を行っていたと欧米メディアにより報じられていた。中国はこの報道を否定し「再使用可能な宇宙船の定期実験」だと説明している。
中露が相次いで極超音速ミサイルの発射実験を行っていることについて、米軍は警戒感を強めている。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は10月27日のインタビューで、中国による極超音速兵器の発射実験を「非常に懸念している」と述べた。そして、極超音速ミサイルの発射実験は旧ソ連が1957年に人工衛星「スプートニク」を打ち上げた時と「非常に近い」出来事だと指摘した。
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