カナダの中国人留学生・劉銘園(リュウ メイエン)さんは11月18日、トロントの中国領事館前で、中国政府による人権迫害を非難し、法輪功学習者で中国政府に不法逮捕されている母親の無条件釈放を要求した。カナダの政府と国民に対して、正義を守り迫害を停止させるための支援を呼びかけた。
24歳の銘園さんは今年8月にカナダに渡り、シェリダン・カレッジのコンピュータアニメーション学部に在学中。
一家バラバラに
銘園さんの母、劉艶(リュウ エン)さんは1995年に東北師範大学の英語専攻で修士号を取得したのち、米オハイオ州シンシナティ大学の全額奨学金を獲得し、中国空軍第二航空大学、長春ラムトン学院など複数の大学で教鞭を執った。父親の劉永(リュウ ヨン)さんは画家、彫刻家である。
母親は法輪功を習い始めてわずか2カ月で、長年患っていたB型肝炎と婦人科系の病気が治ったため、修煉を貫いている。
1999年7月、当時の江沢民政権が法輪功への弾圧を発動してから、一家は中央政府に法輪功の無実を説明するため北京に陳情に出かけたが、警察に10数日間拘束された。翌年3月、中国空軍第二航空学院の英語学部の准教授だった母親は懲戒免職された。
同年末、両親は再び北京に陳情に向かったが、15日間拘束された。
母親はその後、カナダのニューファンドランドメモリアル大学と吉林大学が共同運営する長春ラムトン学院に就職し、教師・管理職を務めた。
ある日、20人以上の警官が同大学を訪れて母親を逮捕しようとした。教職員一同の助けを受け、母親は逃げ出した。警察は一時、当時幼稚園児だった銘園さんを人質に取ろうとした。
こうした中、逮捕から逃れるため、一家3人は西南部の雲南省昆明市に移り住み、両親は雲南師範大学に再就職できた。母親は同校で優秀教師などに6回ほど選ばれ、執筆した英語の大学教材は同省政府に表彰されるなど数々の賞を獲得した。
「中国画家100人」に入選した経歴を持つ父親は同大学ビジネススクールの客員准教授を務めた。中国美術界の専門誌「中国収蔵」は、父親の作品を「コレクションする価値がもっとも高い」と評価した。
2012年9月1日、父親は彫刻のアトリエで警察に不法逮捕され、4年の刑期を言い渡された。昆明市警察当局は、2人が勤務する雲南師範大学に2人の解雇を命じた。
母親も2015年、3年の懲役刑を言い渡された。2人とも刑務所で拷問、洗脳、強制労働を強いられた。
両親が逮捕された直後、父方の祖母は体調を崩して亡くなり、母方の祖母は重病に罹り、24時間の介護が必要になった。母方の祖母もまた法輪功を習ったことを理由に、かつて労働教養所に2年半ほど収容され、強制労働や拷問などを受けた。
当時高校生だった銘園さんは、家族の離散を目の当たりにして、精神的に不安定になっていた。娘に健全な生活・教育環境を与えるために、両親は外国に留学させることを決意した。
2020年、銘園さんはカナダのシェリダン・カレッジのアニメーション学部に合格した。ほぼ同時期に、母親は警察に逮捕された。父親はいまも不安定な生活を強いられている。
懸命の訴え「母を解放せよ」
「この20数年の間に家族の身に起きたことは、成長過程の私に計り知れないストレスと負の影響をもたらした」と銘園さんはこの弾圧の深刻さを訴えた。
今年9月30日、銘園さんの母親は、移住先の雲南省昆明市で再び警察に不法逮捕され、今も拘束されたままである。
銘園さんは「カナダ政府に、中国政府に対して法輪功弾圧の中止、母の釈放を求めるよう呼びかける」と訴えた。
カナダの主要メディア、グローブ・アンド・メール紙は17日に銘園さんのインタビューを掲載し、一家に起こったことを報じた。
「法輪功は『真、善、忍』を信仰し、より良い人になることを目指しているのに、長年にわたり中国政府に弾圧されました。ここで語ったのは私たち家族の話だけではなく、過去20年間に何千万人もの法輪功学習者の身に起こった悲劇です。強権国家による残酷な迫害を一刻も早く阻止するために、国際社会の力をいただきたい」と銘園さんは呼びかけた。
(記者・伊鈴、翻訳編集・叶子静)
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