国際 【米国思想リーダー】

創造を生む自由 意欲を奪う共産主義 2つは対義語=活動家アントネラ・マーティさんインタビュー(2/3)

2021/10/23
更新: 2021/10/23

ラテンアメリカで自由を推進する活動を続けるマーティさんは、権威主義の腐敗と不正に直面してきた。彼女によれば、「自由」という言葉は共産主義の対義語だという。自由な世界は開かれており、自発的な協力と信用、信頼が成り立つ。 他方、共産主義、社会主義、集団主義などでは、人と人との間に信頼関係がないと指摘する。

彼らは常に監視されているので、互いに恐れています。誰が政権の側にいるのか分からないからです。共産主義体制では異なる考えを持っていると、誰かが体制側にそのことを通報するかもしれません。

マーティさんによれば、アルゼンチン政府や、ラテンアメリカの多くの政府は、新型コロナを利用して大きな政府になることを正当化している。「安全な管理」を名目にして、個人を所有し、生活を支配し、何をするべきかを指示し、監視を推進している。

かつてアルゼンチンは先進国だった。しかし、いまや人口4500万人のうち約半分の2500万人が政府からの給付を受け取っている。これらは税金で賄われているはずだが、国民の民間部門就労者はわずか700万人だという。

アルゼンチンでは政府が大きくなっています。止めなければ、かつて繁栄したキューバやベネズエラのように経済が崩壊します。アルゼンチンには経済成長を見込める大きな指標がありました。しかし政府の失策で国は貧しくなりました。

マーティさんは、ポピュリズム(大衆迎合的な政治)について持論を述べた。それは、ある政治家が「神」になりすますことだという。彼らは失策により国民に災禍をもたらす。しかし、困難から国民を救うのも「神」である自身だといい、忠誠を誓うよう強いる。

ラテンアメリカには、この種のいわゆる「救世主」がたくさんいます。例えば彼らが、あなたの足をへし折ったとします。彼らはあなたに松場杖を渡して、「私がいなかったら、歩けなくなりますよ」と言います。これがポピュリズムの本質です。

神には神話が必要だ。キューバではラジオ、テレビがチェ・ゲバラやカストロの武勇伝ばかり紹介する。数少ない書店に立ち寄っても、カストロ以前の国の歴史書は探せない。共産党が教育を独占するキューバでは私立大学がない。しかも、大学4年間を卒業したら、必ず2年間は体制に従事する仕事につかなければならないという。

ラテンアメリカにはポピュリズムが跋扈する。カストロもゲバラも、初めは民衆に慕われ、民主主義的だと思われていた。ベネズエラの独裁者ウゴ・チャベス氏や、今のニコラス・マドゥロ大統領も、民主主義を愛していると公言していた。実際、彼らは選挙で選ばれた。しかし、その後、彼らは平等や管理の名の下に自由を破壊し、腐敗をもたらし、失策で国を貧弱にした。
 
ポピュリズムを話題にする時、私はいつも「古典的自由主義」の観点から見ています。左派と右派の両方から、ポピュリズムが出てきます。彼らは共通して、民主的に権力を行使する方法を用いないのです。さらに、ルールに逆らう傾向があります。自由社会の制度を破壊し、表現の自由を破壊します。

ベネズエラには複数の憲法があり、恣意的に変更される。政治家が資産を没収したり、常にルールを変えるような国には誰も投資しない。同国で通貨価値が暴落してハイパーインフレが起きたことは記憶に新しい。

ウゴ・チャベス元大統領は、家や会社を一軒一軒回り、様々な資産を没収し、国有化しました。彼は人々の「意欲」を破壊したのです。富を創造する人々の力が破壊されました。私たちは、富を創造しなければなりません。それが貧困を克服する唯一の解決策です。富を再分配すれば貧困を解消できる、という主張がありますが、ラテンアメリカの歴史を見れば、それが解決策にならないことは明らかです。

(つづく)

米国思想リーダー「Antonella Marty: How Socialist, Communist Ideology Took Over Cuba, Latin America」より

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。