中国の石炭主要生産地である山西省では、2~6日にかけて記録的な大雨に見舞われた。この影響で、省内の60カ所の炭鉱が操業を停止した。中国各地で問題となっている石炭不足に拍車をかけている。
山西省当局によると、季節外れの大雨で一部の地域では深刻な洪水が発生した。省応急管理庁は10日、豪雨で「省内の11市と76県の175万7100人が被災し、12万人以上が避難した」と発表した。倒壊家屋は1万7000戸以上だという。
山西省は中国屈指の石炭生産地である。中国国家統計局の統計では、2020年の中国国内の石炭生産総量は38億4000万トン。そのうち、山西省で生産された石炭は10億6300万トンと、全体の25%以上を占める。今年1月末時点で、同省には670カ所の炭鉱があるという。
中国メディア「時代週報」などによると、今回の大雨の影響で、8日時点では、省内の60カ所の炭鉱が操業を中止した。石炭生産業界のアナリスト、黄騰氏は「時代週報」の取材に対し、山西省の炭鉱が生産停止したことで、国内の石炭不足はさらに深刻化する恐れがあると述べた。
中国の各地政府はこのほど、エネルギー供給不足の対策として、電力の使用を制限する措置を講じた。山西省政府は9月29日、電力不足に頭を抱えている河北省、山東省、江蘇省など14の省との間で、中長期の石炭安定供給に関する協定を結んだ。
黄騰氏によると、今回操業停止となった炭鉱の多くは粘結炭を生産している。「粘結炭の供給不足はしばらく続くだろう」という。同氏は輸入石炭について「供給不足で、価格が高騰しており、また、輸送用の船舶も足りない」ことが原因で、期待できないとした。
(翻訳編集・張哲)
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