米国の裏庭であるラテンアメリカ・カリブ地域で影響力を強めている中国に対して、米政府は対抗策を講じている。
米調査会社ディールロジックによると、ラテンアメリカの合併と買収(M&A)に占める中国の割合は、2004~09年の2.4%から2014~19年には16.3%に上昇し、米国に次いで2番目である。中国海関総署の統計によると、同地域2020年の対中輸出額は前年比0.1%増の1660億7900万ドル(約18兆円)だった。
1日付の米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国の対ラテンアメリカ(中南米)貿易・投資は、食料や石油、そして電池用のリチウムなどの鉱物資源に集中している。
中国の国有企業はブラジルのエネルギー産業に投資している。中国国営のランドブリッジ・グループ(嵐橋集団)は、2016年にパナマ最大の港湾であるマルガリータ島港を買収した後、10億ドルを投資してコンテナターミナルを建設している。
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の拡大に対抗するため、トランプ前政権は2018年、中南米のエネルギーやインフラへの民間投資を強化する「アメリカクレーセ計画(America Crece)」構想を推し進めた。
当時のポンペオ国務長官は、「米企業は中国企業より品質の高い製品やサービスを提供することができる。中国共産党の投資話は、最初はうまくいっているように見えても、それに伴う政治的コストが明らかになるにつれ、状況は悪化していった」と、南米の小国が米企業を選ぶことを勧めた。
6月には、バイデン米大統領がG7諸国とともに、グローバルインフラ構想「より良い世界の再建(B3W)」の合意に至った。
ブルームバーグは9月27日、米政府関係者の話として、ダリープ・シン国家安全保障担当副補佐官が現在、B3W構想を実践するために代表団を率いてラテンアメリカを視察していると報じた。
米陸軍士官学校戦略研究科でラテンアメリカ問題を研究しているエバン・エリス教授は、VOAに対し、中国がニーズのある国へ投資するのは、ラテンアメリカを米国から遠ざけるためだと語った。「中国政府は自らの目標を達成することで、(ラテンアメリカ)地域の政治や経済、ひいては米国の安全保障や政治情勢に大きな影響を与えている」とした。
ドイツの国際公共放送ドイチェ・ヴェレ(DW)は2月14日、米スタンフォード大学国際安全保障・協力研究センターのハロルド・トリンクナス副所長の話として、「世界の他の地域と同様に、中国政府は多額の融資や投資を利用し、国連機関の票や『一つの中国政策』への支持を狙っている」「これは特に、重債務を抱えた小国に有効である」と報じた。
(翻訳編集・王君宜)
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