[ピッツバーグ/ワシントン 29日 ロイター] – 米国と欧州連合(EU)は29日、新たに立ち上げた「貿易・技術評議会」の初会合を開き、半導体のサプライチェーン(供給網)強化や、中国の非市場的な貿易慣行の阻止、巨大テック企業の支配力を抑えるための一体的な対応に向けて協力を深めることで一致した。
ペンシルベニア州ピッツバーグで開かれた閣僚級会合ではまた、軍事転用可能な技術の輸出制限に絡む投資の監視や、人工知能(AI)の開発にも共同で取り組むことで合意した。
共同声明では中国を名指しせず、「国際貿易体制を揺るがす不公正な貿易慣行、とりわけ非市場的経済に関する不公正な慣行から(米欧の)企業、消費者、労働者を引き続き守るためにわれわれは団結している」と表明した。
会合にはブリンケン米国務長官、レモンド商務長官、タイ米通商代表部(USTR)代表、EU側は欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)、ベステアー上級副委員長(競争政策担当)が出席した。
半導体の供給網強化については、当初は短期的な供給制約の緩和に軸足を置き、その後は長期的な脆弱性を特定した上で「研究、デザインから製造に至るまで国内の半導体エコシステム(生態系)の強化と耐性の改善」に焦点を移すとした。
半導体関連投資を誘致するための補助金合戦の回避と「適切な奨励策」の模索に取り組むとした。
巨大テック企業に関しては、ロイターが先週報じた草案で、拡大する市場支配力の制限に向けてさらに一体化した手法を取る方針であることが明らかになっていた。最終文書もこの方針を踏まえた内容となり、互いに懸念がある分野としてアルゴリズムによって助長された違法で有害なコンテンツが挙げられた。
「偽情報、商品の安全性、偽造品、その他の有害なコンテンツに焦点を合わせたプラットフォームのポリシーに関し、米欧間の協力にコミットしている」とした。
米欧がアルファベット傘下のグーグル、フェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コムといった米国の巨大テックの支配力を抑えるために協力すれば、企業側は規制強化に抵抗しにくくなるとみられる。
ベステアー氏はAIに関する議論が有益だったと指摘。会合後に記者団に「AIに関しては信頼性の高さが求められ、人間が中心となり、リスクに基づくアプローチが必要という点で意見が一致した」と述べた。
声明には第2回会合の時期への言及はなかったが、EUの当局者らは、2022年の春に欧州で開かれる可能性が高いと述べた。
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