核弾頭搭載ミサイルの開発を急速に推進している中国に対する懸念が高まっている。こうしたなか、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は、9月上旬に開催された年次軍備管理会議で、中国保有の核兵器が急速に増加していることについて警告を発した。
同事務総長は、「中国は多数のミサイルサイロを建設していることで、核能力を大幅に向上させることが可能となる。同国はこれを制限・制約なしに進めている。しかも透明性が完全に欠如している」と訴えた。
また、核軍縮における優先事項を提示した同事務総長は、ロシアだけでなく他の多くの諸国もミサイル削減協議に参加するべきであると主張した。
2019年にロシアの中距離核戦力全廃条約違反を指摘した米国は、1987年に米国と当時のソ連が調印した同条約を破棄するとロシアに通告した。同条約は射程が500キロから5,000キロまでの範囲の地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルすべての廃棄を要求した初の軍備管理条約であった。
ロシアは自国のミサイル開発は条約違反には該当しないと主張した。 結局のところ条約は失効。それをよそ目に核兵器の製造を続ける中国は、核拡散防止協議に参加する姿勢さえ見せない。
米国とロシアが10年前に締結された新戦略兵器削減条約(新START)の5年間の延長に正式合意したことを称賛した同事務総長は、人工知能といった新技術を含め、今後の軍備管理交渉に含める兵器の種類を増やすべきであると主張している。
(Indo-Pacific Defence Forum)
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