東芝とサムスン、中国から相次ぎ撤退 補償金に不満の従業員は抗議活動

2021/09/16
更新: 2021/09/16

中国から撤退する外国企業が増えている。日本の大手電機メーカー東芝、韓国最大の財閥企業サムスングループはこのほど、相次ぎ中国工場の閉鎖を決定した。

東芝は中国大連市の工場を9月30日をもって閉鎖する。1991年に産業用モーターなどの製造拠点として設立され、東芝グループ初の中国工場だった。今後、ベトナムや日本国内での生産に切り替える。

同工場は液晶テレビや医療機器なども生産してきたが、東芝の経営再建で事業整理を進めた結果、生産品目が少なくなった。

中国メディアによると、同工場の経営は長らく低迷しており、現在の従業員数は約650人、平均月給は約3000元(約5万円)。撤退に伴う従業員への補償など具体案はまだ公表されていない。

一部の情報では、東芝は年内に中国24都市にある33工場と研究開発機構を引き上げる予定だという。開発機構と精密部品の製造は日本国内に戻し、電気製品の生産ラインはベトナムに移転する。東芝は2013年にも大連市にあったテレビ製造工場を閉鎖した。

中国浙江省寧波市にある韓国系企業、サムスン重工業の造船所もこのほど閉鎖を発表した。同造船所はサムスンの中国での初の造船所であり、1995年12月から稼働。従業員数は4500人を超える。

数千人の従業員は工場の閉鎖に反対し、会社側の補償案を受け入れられないとして、9月8日から連日抗議を続けている。

大紀元の取材に応じた工場関係者によると、サムスン側は「(勤続年数+1)×月給」という補償案を提示したが、従業員側が要求する「勤続年数×月給×3」の金額と約2倍の開きがある。9月12日時点で労使交渉は続いている。従業員の話では、従業員全体の平均給与は約1万元(約17万円)、新入社員は約3000元(約5万円)。外資系企業のなかでは高い水準とみられる。

夜になっても工場構内に留まるサムスンの従業員(大紀元)

中国の法律では、会社の都合による労働契約解除時、義務として従業員に支払われる補償金は、「勤務年数(最大12年)×直前平均月給」となっている。従業員側の要求は法律から大きく乖離していることがうかがえる。

サムスングループは中国からの撤退を加速させている。昨年、中国最後の携帯電話生産拠点だった広東省恵州市の工場、天津市にある中国唯一のテレビ製造工場、今年8月には、蘇州の最後のパソコン工場を立て続けにたたんだ。

外資が相次ぎ撤退を決めた一因として、労働コスト(人件費)の高騰が挙げられる。

外国企業の撤退が続けば、失業者が急激に増え、国民生活や中国経済への打撃は必至だ。中国政府が今年8月に発表した資料によると、外資企業での就業人口は4000万人と、全就業人口の1割を占めている。税収の6分の1に貢献しているという。

(翻訳編集・叶子)

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