中国共産党の習近平総書記はこのほど、党中央弁公庁警衛局長の人事を刷新した。警衛局内部の幹部を新局長に充てるというこれまでの慣例を破り、中国軍北部戦区の幹部を就任させた。
中国共産党の警衛局は、党中央弁公庁の管轄を直に受けており、中南海を含む党・政府の重要な施設の警備、党の要人や高官などの警護を担当する。北京軍区には所属していない。米政府のシークレット・サービスに相当する。
香港紙「明報」15日付の評論記事は、北部戦区の陸軍副参謀長である周洪許少将(50)が新警衛局長に赴任との情報を得たと伝えた。また、昨年11月には、福建省漳州市に駐屯する陸軍第31集団軍の歩兵第91師団政治委員だった陳登鋁少将が、警衛局副局長兼警衛局警衛団の政治委員に就任した。
「任務の特殊性から、警衛局長は最高指導者の最も信頼している人物でなければならない。また、警衛局党委員会の第一書記には党中央弁公庁主任が兼任していた」
「今回、噂された新局長は、警衛局の内部からではなく、軍の幹部であるため、習近平氏の軍人登用に関しての考え方に変化があったことを反映した。彼らは警護などの経験は少ないが、最高指導部の権力闘争の影響を避けることができる」と明報は指摘した。
現局長の王小軍中将に関して、昨年の新型コロナウイルス(中共ウイルス)流行以来、動静が報じられていないという。
20日の時点で、中国官製メディアは、新局長の任命について報道を行っていない。
いっぽう、親中の海外メディア「多維新聞」は、「習近平氏は慣例を打破し、内部から抜てきするのではなく、政治の中枢に『外部人員』を投入したことは、様々な憶測を呼んだ」との見解を示した。
多維新聞は、警衛局は絶えず党最高指導部の権力闘争に巻き込まれていると示唆した。「歴史の中で、警衛局は文化大革命を終わらせ、(毛沢東の妻、江青らの)『4人組』の逮捕において大きな役割を果たした」
毎年夏に、中国共産党の長老や要人が集まる非公開会議「北戴河会議」の開催が近づいている。また、来秋には、最高指導部の人事を決める党大会も控えている。この党大会で、習近平氏は3期目の続投を狙っている。
在米中国経済学者の程暁農氏は19日、大紀元への寄稿で、警衛局新局長の人事から習近平氏が同局幹部の忠誠心を疑問視していることが窺えるとの見解を示した。
来年の党大会を控え、「上層部には、習近平政権を終わらせようとしている勢力がある」と程氏は指摘した。
「軍幹部を警衛局のトップにしたことに、上層部メンバーの監視を強化する狙いがある。これは、習指導部の権力闘争への対応方法となっている」
(翻訳編集・張哲)