北京の清華大学で開かれた「世界平和フォーラム」では4日、欧州各国の駐中国大使と中国の出席者がEUと中国の関係を巡り、激しい応酬を繰り広げた。
欧州連合(EU)のニコラス・シャピュイ駐中国大使は、EUと中国がここ十数年来、相互に理解し、信頼し合う空間が狭まったと指摘した。「北京はますます傲慢で横柄になっている。これには失望した」という。
イタリアのルカ・フェラーリ駐中国大使は「中国への不信感は強まっている。これは戦狼外交と関係がある」と中国の強硬な外交姿勢を批判した。
欧州の外交官らが中国の戦狼外交と新疆ウイグル人への人権弾圧に懸念を示したのに対し、中国の学者は欧州が中国を敵とみなしたから、関係が悪化したと反論した。
フォーラムで、米国の臨時代理大使ウィリアム・クライン(William Klein)氏は、世界中の民主国家は皆「頑固な中国(中国共産党)と破壊的なロシア」に直面していると述べた。
英国のキャロライン・ウィルソン(Caroline Wilson)大使は、「英国は自分のやり方を中国や共産党に押し付けたりはしない。中国にも、自分のやり方を他人に押し付けないことを願っている」と述べた。
一方、中国国務院のシンクタンク、中国社会科学院欧州研究所の江時学前所長は、「欧州には独立した外交政策があり、アメリカに盲従していないと思っているのか」と各国の大使に質問した。
EUのシャピュイ大使は「EUは独立した外交政策を採用している」と即答し、「私はワシントンの言うことを聞いてない」と冗談を交えて言った。さらに「アメリカもEUの言いなりになっていない」とお互いの政策が独立していることを強調した。
しかし、中国の官製メディア環球時報はこの議論を報じたとき、「ワシントンの言うことを聞いてない」との発言を取り上げ、「トランプ政権の外交政策は大失敗した」と大使の発言を歪曲して伝えた。「全ての国は大小に関係なく、平等に議論すべきだ」という趣旨の同大使の発言には触れなかった。
(大紀元日本ウェブ編集部)