米下院の情報特別委員会に所属する共和党議員がこのほど報告書で、中国当局が製造業やスポーツ、金融、メディア、農業などの各分野の米国企業に深い影響力を及ぼしていると示した。
同委員会議長を務めるデビン・ヌネス(Devin Nunes)議員(共和党)は、委員会の他の共和党議員とともに、中国当局が米国企業を操り、脅迫している現状を調べている。議員らが大紀元英語版に提供した中間調査結果は、「米国企業は、事業運営、投資戦略、戦略的な方向性に関して、中国当局からの指導と指示を受けている」とした。
調査は、米企業の幹部と従業員は、中国市場へのアクセスを禁止されるなど、中国当局からの報復措置を懸念し、中国当局に対する否定的なコメントを控え、「自己検閲」して事業戦略を調整していると分かった。
中国当局の影響力の一部は、米国企業の内部にも及んでいた。中間報告書によると、中国共産党員は米国企業の取締役や経営幹部に就任しており、「技術取得や米国市場への浸透工作における中国当局の企みを推し進めている」。
また、中国当局は不正な方法で米国の技術を手に入れようとしている。米国企業は「操られて強要され、重要な技術を中国当局と共有せざるを得ない状況にある。また、米国企業は、中国当局が機密性の高い知的財産を取得することも手助けし、米国の産業を犠牲にして中国国営企業に利益をもたらしている」という。
また、共和党の議員らは調査で、中国当局が米国企業を通して、「州政府、連邦政府の職員や高官と立法機関である議会に圧力をかけて、中国当局にとって有利な行動をとるよう求めている」と把握した。
近年、IT大手のアップルやYouTube、ハリウッド映画界、アメリカ・プロバスケットボール協会(NBA)などは、中国当局の検閲や言論統制に協力的だと非難されている。
米スポーツ用品大手ナイキのジョン・ドナホー(John Donahoe)最高経営責任者(CEO)は24日に開催されたオンライン決算報告発表会で、「ナイキは中国の1つのブランドであり、中国のためのブランドである(Nike is a brand that is of China and for China)」と発言した。
この発言の背景には、中国当局による新疆ウイグル人への人権侵害をめぐって、同社を含む多くの欧米企業が懸念を表明したため、ネット上で不買運動が起きたことがある。
調査は、中国当局が米金融界を利用していると示した。中国企業は「国際的な信頼性を高める」という目的で米国で資金を調達している。また、中国当局は米国の投資会社や金融機関を通して、「米国の新興企業、ハイテク技術、生物科学、製造業への戦略的投資のチャンスを獲得した」という。これに対して、米国の金融企業が、中国の国有ファンドに投資する場合は、中国当局の指示に従わなければならない。同時に、中国企業は複雑な構造で、リスク、共産党政権との関係、他の企業との取引関係を不明瞭にし、米政府の監視を妨げ、米投資家を騙しているという。
議員らは報告書の中で、レアアースや医薬品などの分野で、米国が中国のサプライチェーンに依存していることを指摘した。
ヌネス下院議員は27日、フォックスニュースの「サンデー・モーニング・フューチャー」番組に出演した際、この調査について言及した。同氏は、米国が中国のサプライチェーンに強く依存している状況について、国家安全保障が脅かされる危険性があると懸念を示した。
同議員は「われわれが調査しなければならない分野は非常に広範囲だ。この状況にとても不安を感じる。米国民もこの事態を懸念すべきだ」と話した。
議員は、今後の調査について、調査対象となる米企業が12社から最終的に40社以上に増える可能性があると示した。
(翻訳編集・張哲)
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