母を拘束、父に口止め「法輪功弾圧やめて」娘が中国大使館に書簡投函

2021/06/17
更新: 2021/06/17

中国共産党によって不法に拘束された法輪功学習者の母親の釈放を求めて、日本在住の法輪功学習者である付偉彤(ふ・えいとう)さんは6月15日、中国大使館前で静かな抗議を行った。付さんは、信条を理由にした逮捕は不当であると訴え、読み上げた公開状を同館のポストに投函した。

付さんは、母親の拘束についてインターネットで初めて知った。国内にいる父親に尋ねても、話すことができない様子だという。このことから、付さんの家族は当局に押し黙るよう強いられている可能性がある。

付さんは、国内にいる家族の拘束は中国共産党の脅迫であり、これに屈することなく、信念を堅持することを表明している。

母親の拘束をネットで知る

付さんが母親の拘束を知ったのは、家族からの電話ではなく、インターネットからだった。母親が6月2日に強制連行されたとの情報を目にして、中国国内に住む父親に電話を掛けた。しかし、父親は「何も知らない」の一点張りだった。

付さんは、これまでの中国共産党による信仰者に対する弾圧手法と同じで、「父親は中国共産党に盗聴されていたため、母親のことを話すことができないのでは。口止めされているのではないか」と考えている。

中国共産党当局は、付さんの母親の拘束理由や、その後の司法手続き等について、一切情報を開示していない。そして15日までの取材時点でも、付さんは母親の現状について、当局からは何ら情報を提供されていない。

「母が今どこにいるのか、何も知ることができません。母の健康状態を心配しています。連絡がまったく取れない状況です」。

付さんは、中国共産党による法輪功弾圧は違法だと述べた。「中華人民共和国憲法には信教の自由や言論の自由に関する規定があります。そして法輪功はどんな法律にも違反していないし、そのような判決もありません。だから、中国共産党政権による法輪功に対する迫害そのものが違法なのです」。

中国の人権弁護士たちもまた、弾圧の違法性を指摘する。例えば、河南省の高承才弁護士は2018年7月、検察院と北京市刑務所監察委員会を相手取る訴訟状のなかで、「邪教指定ではない法輪功の学習者を信条を理由に刑事告訴するのは法的誤りであり、逮捕や起訴は権力濫用罪にあたる」とした。

北京の余文生弁護士は、中国の法律では14団体をカルト指定しているが、そのなかに法輪功は含まれないと指摘。そして法輪功を理由に犯罪として逮捕する当局の行為こそ、非合法的だと主張している。

中国共産党の法輪功迫害はこうした法的支援を行う人権弁護士にも及ぶ。弁護士の家族もまた、不当な拘束や暴力、嫌がらせの犠牲者となっている。

迫害に動じず信念を貫く

中国共産党による非人道的な迫害は22年続く。それでもなお、付さんは信仰を堅持し続けている。付さんは、公開状のなかで、母親の体験について記している。

付さんの母親は法輪功を学ぶ前、重度の貧血と血小板減少症、末期の胃がんを患っていた。がんの症状はどんどん進行し、余命宣告までされていた。藁にもすがる思いで法輪功の書籍を読み始め、体を動かす煉功を始めたところ、病状は快方に向かった。それだけでなく、余命宣告されていた胃がんとその他の病まですべて治ったという。

迫害政策により身の危険が迫るなか、母親は自らの信念を貫き続けた。「立派な母です」と付さんは拘束されている母親に想いを馳せた。

国際社会のなかで、中国共産党による人権弾圧に関心が高まっている。法輪功学習者に対する強制臓器摘出を非難する米国「343号決議案」に代表されるような決議案は、民主主義国の議会で提出・採択されている。

関連報道:(2016年)米下院、法輪功の臓器摘出を非難する決議案を満場一致で通過

国連の人権専門家は6月14日に発表した文書のなかで、中国では法輪功学習者や少数民族が「臓器狩り(Organ Harvesting)」の対象になっていると指摘。この事態を「強く憂慮する」と表明した。

付さんは公開状のなかで、「善には善の報いがあり、悪には悪の報いがある」という中国のことわざを紹介し、中国当局に対して、一刻も早い母親の解放と迫害の停止を求めた。

(王文亮)