バイデン米大統領は3日、中国の軍産複合体と関連があるとされる企業59社に、米国民が投資することを禁じる大統領令を発表した。しかし、小米(シャオミ)、ルオクン・テクノロジー、曙光(Sugon)など中国企業16社がブラックリストから削除されたため、米シンクタンクから疑問視されている。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は12日、米保守派雑誌「ナショナル・レビュー」の報道を引用して、「バイデン氏が曙光のような企業を見逃すのは非常に奇妙だ」と報じた。中国スーパーコンピュータ大手の曙光は、中国軍と密接なつながりを持ち、中国の核兵器や極超音速兵器のプロジェクト、さらには新疆ウイグル人を対象とした監視設備の開発などにも深く関わっていることが広く知られている。
トランプ前政権時代に「曙光」は制限対象と指定され、今でも商務省のエンティティリストに含まれている。しかし、バイデン大統領は今回の大統領令で同社への規制を解除した。
バイデン氏は、トランプ前大統領が去年11月に発令した大統領令(EO13959号)に修正を加えた新たな大統領令に署名した。対象となる企業は当初の48社から59社に拡大され、8月2日より発効する。米国の個人や法人は、これらの企業の株式売買を禁じられる。
曙光と中国軍の密接なつながり
米保守系シンクタンクの民主主義防衛財団(FDD)が最近発表した報告によると、曙光は中国軍との間に幅広い繋がりを持つと指摘した。同社は中国の研究機関と戦略的協力協定を締結しているだけでなく、防衛や国家安全保障のための指揮・コントロールアプリの開発もしているという。
中国・天津に本社を置く「曙光信息産業股フン有限公司」は中国科学院傘下のコンピュータ製造会社で、高性能コンピュータやサーバー、クラウドコンピューティング、人工知能の研究、開発およびサービスを行っている。
「ナショナル・レビュー」によると、トランプ前政権が当初、同社をブラックリストに加えた際、ある中国の技術専門家がワシントン・ポスト紙に対し、同社は中国の核兵器シミュレーションと極超音速滑空兵器のプロジェクトにも参加していたと明かしたという。
極超音速滑空兵器は、核弾頭を搭載した兵器を運べ、現在のミサイル防衛では迎撃不可能とも言われている。
バイデン氏が曙光を逃すのは「非常に奇妙だ」
米国の地方マガジンも、制裁リストから曙光を外したことを疑問視する記事を掲載した。
記事は、米対外政策評議会(AFPC)のインド太平洋問題専門家マイケル・ソボリック( Michael Sobolik)氏の話を引用して、バイデン氏が曙光をブラックリストから削除したのは「非常に奇妙だ」と指摘した。曙光はそのリソースを利用して新疆で巨大な監視ネットワークの建設をサポートしてきたからだ。
FDDが6月初旬に出した報告書は、公表された中国企業以外にも多くの中国多国籍企業が「軍民融合発展戦略」の下で、中国軍に国際的な支援を行っていると指摘した。
バイデン氏、トランプ政権の「ウィーチャット」「TikTok」禁止令を撤回
バイデン氏は9日、中国の動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」とSNSアプリ「微信(ウィーチャット)」の米国内での使用を禁止したトランプ前政権の大統領令を撤回した。
今後、米商務省がこれらのアプリが米国に国家安全保障上のリスクをもたらすかどうかについて、「証拠に基づくアプローチ」を用いて精査していくという。
トランプ前大統領は、この2つのアプリの所有権が中国企業にあるため、米国の国家安全保障上のリスクをもたらすと見なしていた。
ジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)米上院議員は、バイデン氏が両アプリを解禁したことは「大きな間違い」と信じていると語った。
(大紀元日本ウェブ編集部)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。