中国、3人っ子政策も産児制限は続く 少数民族の人口抑制が狙いか=報道

2021/06/04
更新: 2021/06/04

中国政府は5月31日、産児制限を緩和し、夫婦1組につき3人まで子供をもうけることを認める方針を発表した。中国政府が、将来の人口減少問題を抱えているにもかかわらず産児制限を続ける理由は、多産の少数民族の人口を抑制する狙いがあるとの見方がある。米CNNが6月1日に報じた。

CNNは専門家の話を引用して、中国共産党は少数民族の増加を問題視してきたと指摘する。多産の伝統を持つウイグル族は1家族に9〜10人を生む場合も多く、中国国内でも高い出産率を維持してきた。中国国家統計局の人口調査によると、1953年の少数民族の割合は全体の6.06%に過ぎなかったが、2020年には8.89%にまで増え、少数民族の人口増加幅(2.57倍)は漢族(1.35倍)を大きく上回った。

中国当局は、2017年から少数民族の出産制限を強化してきた。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は5月に発表した報告書の中で、新疆ウイグル自治区の出生率は2017〜19年に48.7%減少したと指摘した。

1980年代に施行された一人っ子政策も、貧困層の多い同自治区では3人の出産が認められきた。しかし、2017年から少数民族の出産は厳しく監視されるようになり、やがて「不法出産」に対して罰金、強制収監などの処罰が科されるようになったという。

さらに、非人道的な不妊・中絶手術も、人権団体の調査により明らかになった。新疆ウイグル自治区の政策に詳しいエイドリアン・ゼンツ氏は、同地域における不妊手術の割合が2018年に10万人当たり243人まで急増し、中国国内の他の平均である33人よりはるかに高いと指摘。ウイグル族は強制的な避妊や不妊手術を受けていると分析した。

トルコに亡命した匿名のウイグル族医師はCNNのインタビューで、2020年に国内追放されたウイグル族女性300人のうち、約80人が不妊手術を受けており、その多くが、妊娠しないための手術であることを知らなかったと述べた。

(編集・潤水)