孔子学院の実態を暴露したドキュメンタリー映画、韓国で初の上映会 議員も参加

2021/05/24
更新: 2021/05/24

韓国ソウルで21日、孔子学院の実態を暴露したドキュメンタリー映画『In the Name of Confucius (仮邦題:孔子の名の下に)』の初上映会が開催された。韓国は、アジアで最も多くの孔子学院を設けている。各界の政治家や市民は映画鑑賞後、プロパガンダ機関による危害の認識を高めた。

韓国の最大野党「国民の力」議員のチョン・ギョンヒ氏は儒教の伝統が強く残る韓国で、孔子の名を冠した中共宣伝組織を受け入れていることに危機感をあらわにした。

出席した韓国「ウリ共和党」広報メディア本部長のハン・グンヒョン氏は、「孔子学院の問題は深刻だが、知らない人が多い。特に若者は関心を持っていない」「多くの人がこの内容を周辺に知らせる必要がある」と訴えた。

この映画は、孔子学院の元教師で法輪功学習者のソニア・ジャオ(Sonia Zhao)氏の体験をもとに制作されたドキュメンタリー映画だ。孔子学院には教師に対して特定の信条を禁止する中国共産党の規定がある。これは、カナダが保障する思想の自由への侵害にあたるとして、ソニア氏は2011年、人権裁判所に異議申し立てを行った。

これにより、孔子学院による問題がカナダ社会全体の懸案として浮上した。2013年7月、マクマスター大学は世界で初めて孔子学院との契約破棄を決定した。映画は、カナダ・トロント教育委員会の聴聞会などを通じて、孔子学院の閉鎖にいたった過程を描いている。

映画を制作したドリス・リュウ(Doris Liu)監督自身がこの上映会を企画した。監督は上映後、「韓国の人々に孔子学院の副作用と、中国共産党が韓国社会に及ぼす影響に警戒心を持っていただければ」と観客に向けて語った。

孔子学院は2004年、ソウル市に世界で初めて設立された。これ以降、韓国の大学や教育機関など28カ所で運営されており、その数はアジアの中で最も多い。こうした韓国の状況に危惧を示すリュウ氏と、市民団体「孔子学院の実態を知らせる会」は韓国で上映会を行うことを決めた。21~31日までソウルや釜山、チェジュなど各地を巡り、孔子学院の閉鎖運動を促す。

前出のギョンヒ議員は、韓国における孔子学院の閉鎖運動の展開について「市民運動に止まらず、合法的な方法を探るべきだ」と大紀元のインタビューで述べた。

世界的な孔子学院閉鎖の潮流 韓国でも議論の深化が急がれる

上映会で孔子学院の実態を知った韓国市民らは、この問題が「世論に広まることが急務」と口をそろえた。 

リバックスクールテレビ代表のソン・ヒョスク氏は大紀元のインタビューで「孔子学院は、中国の代表的な思想家である孔子に対する世界からの敬意を悪用している」「中国共産党が学生に毛沢東思想を注入し、自由と人権を抹殺して世界を支配しようとしている。この事実をまず人々に知らせるべきだ」と感想を述べた。 

韓国ゲッセマネ神学校のユン・サムエル総長は「中国について知らせる学院や学級が各大学にあるという話は聞いたことがある。しかし、孔子学院が毛沢東思想を教え、共産主義を宣伝しているとは知らなかった」と述べ、多くの人々に同映画の鑑賞を勧めたいと述べた。

ドリス監督「韓国でも孔子学院閉鎖運動が広がることを願う」 

ドリス氏はソニア(映画の主人公)に出会い、孔子学院の実態を詳しく知らせた彼女の勇気に感銘を受け、映画の制作を決心したという。上映会のインタビューで、ドリス氏は「韓国でも孔子学院の閉鎖運動を広げ、教育界や政界、マスコミに対して継続的に伝えてほしい」と呼びかけた。

中国は孔子学院について「中国語教育と中国伝統文化を広めるために設立された機関」としている。しかし、表向きの説明とは異なり、中国共産党の宣伝機関であると学術団体や米国務省らの指摘で明らかになったことで、世界的に閉鎖の動きが加速している。現在まで、世界各国で少なくとも92の大学と2つの政府機関、3つの教育委員会がその関係を絶っている。

(編集・潤水)