フィリピン外務省は12日、フィリピンに近い南シナ海に3月から多数の中国漁船が停泊している問題で、中国大使を呼び出して抗議した。
ロイター通信によると、フィリピン外務省は声明の中で、中国の黄渓連大使に対し、フィリピンの排他的経済水域内やウィットサン礁近海に停泊する中国船に最大限の不満を表明し、直ちに撤去するよう要求したと報じた。
同省はまた、中国大使に対し、「南シナ海のほぼ全域の管轄権を持つという中国の主張は、2016年の国際的な仲裁裁判所の判決で全面否定されている」ことを注意した。
中国外交官は以前、漁船の停泊は「風を避けるためだ」と主張し、海上民兵が乗っていることも否定したが、フィリピン外務省はこれを「露骨な嘘」と呼んだ。
南シナ海スプラトリー諸島のウィットサン礁は、フィリピンが領有権を主張している。中国は最近、係争海域に船を集結させ、フィリピンから強い抗議の声が上がっている。米国、日本、および他の国々も中国の意図に懸念を表明し、北京を非難した。
フィリピン沿岸警備隊は今月7日、ウィットサン礁近海に集結する約220隻の中国船団を確認した。フィリピン当局は、これらの漁船には中国の退役軍人や漁民らで構成する「海上民兵」が乗り込んでいると考えている。これらの「大規模かつ脅迫的な」中国船に対して外交抗議を行ったが、中国側は今もすべての船を退去させていない。
フィリピンのテオドロ・ロクシン(Teodoro Locsin)外相は、政府機関のデータを引用してSNSで、ウィットサン礁近海には依然として9隻の中国船が停泊していると明かした。それ以外の中国船の多くは、南沙諸島の他の場所に分散したという。
フィリピンが中国大使を最後に召喚したのは、2019年に中国船がフィリピン船を撃沈した後だった。
ウィットサン礁および南沙諸島の沿岸警備隊や漁船を支援するために、フィリピン軍は海軍艦艇4隻を派遣した。
フィリピン軍と米軍は、12日から2週間にわたる共同軍事演習「Balikatan」を開始した。
(大紀元日本ウェブ編集部)