無料通信アプリ「LINE」利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能になっていた問題で、各省庁は対応に追われている。19日の参議院予算委員会でも山田宏議員が取り上げ、「政府内でもLINEを使っていると思う。機微な情報を扱う政府の中では、当面、LINEの使用を停止すべきだ」と提言した。
これに対し菅義偉総理は、「政府はLINEを含めて民間企業が不特定多数の利用者に向けてインターネット提供サービスを利用する際には機密情報を取り扱わないということになっている」と説明。そのうえで、「この基準に沿って各省庁は適切に対応していると認識しているが、今回の事案で、現在、LINEの利用状況について改めて確認しており、その結果を踏まえて、引き続きセキュリティーの確保をしっかり努めていきたい」と述べた。
山田議員はさらに、日本国内で広く使われている通信アプリはほとんどが外資系企業のものであることに言及、安全保障の観点からも「日の丸の、国産の通信アプリを育成していかなければならないと考えている」と提言した。
各省庁の対応
LINEの問題に対し、各省庁は使用停止する等の措置を相次いで取っている。
19日、岸信夫防衛相は自身のツイッターで、「防衛省では現在LINEの使用状況の調査中」であるとし、「職員の募集採用等で情報発信に利用していますが、私有のPC・携帯等で業務上の不開示情報を取り扱う事を禁じていて、SNSで取り扱ってはならないと周知徹底」していると投稿した。
また、加藤官房長官は記者会見で、「内閣官房では、個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用を停止するなどの対応を予定している」と述べた。
同日、武田良太総務相は記者会見で、総務省が採用活動や意見募集などの一部業務で使用しているLINEサービスを停止するとの考えを示した。また、全国の自治体に対し、利用状況を確認するよう求めた。
(王文亮)
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