米英豪など各国の26人の科学者は4日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源をめぐって、新たに独立調査を行うよう国際社会に呼びかけた。一方、米保守派活動団体が公開した情報は、中国と世界保健機関(WHO)が中共ウイルスの感染拡大を隠ぺいしたことを示唆した。
公開書簡
WHOの国際調査団は2月上旬、中共ウイルスの感染者が初めて確認された中国武漢市に入り、現地調査を行った。しかし、国際社会は、中国当局がWHOの調査を監視し、重要データの提供を拒否したと批判し、WHOの現地調査の信ぴょう性を疑問視した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、ウイルス学者や微生物学者など科学者26人の署名書簡を公表した。書簡は、WHOの国際調査団の半数が「中国国民」で、「調査団のメンバーは中国当局が提供する情報に頼らざるを得なかった」「合同チームの報告書は、中国と国際メンバーの両方の承認を得なければならない」などと指摘し、調査の科学的独立性に疑問を呈した。
26人のうちの1人、英ロンドン大学キングスカレッジのフィリッパ・レンツォス(Filippa Lentzos)博士は、生物学的な脅威を研究する専門家だ。同氏は5日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「新型コロナウイルスが自然界で発生したのか、実験室から漏えいしたのかにかかわらず、この2つの可能性を徹底的に調査する必要がある。しかし、WHOと中国当局の合同チームは独立性を欠いており、完全かつ自由な調査を行うことができなかった」との見解を示した。
また、レンツォス氏は「WHOと中国による合同調査は、独立調査ではないと強調したい」「調査は最初から政治化された。このため、ウイルスのサンプルや病院、実験室の記録の提供、国際専門家との面会者、そして調査結果まで(政治に)影響された」とした。
WHOと中国当局が情報隠ぺい
一方、米保守派活動団体、司法ウォッチ(Judicial Watch)は1日、同ウェブサイト上で、米メディア「デイリー・コーラー・ニュース財団(Daily Caller News Foundation)」とともに、米保健福祉省の電子メールを301ページ入手したと発表した。司法ウォッチは、これらの電子メールは、中国とWHOが中共ウイルス感染拡大の情報隠ぺいを共謀した可能性を浮き彫りにしたと批判した。
メールには、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長とクリフォード・レイン(H. Clifford Lane)副所長のやり取りや、WHOと米高官の連絡などが含まれている。
1通の電子メールでは、WHOは昨年2月13日、訪中を控える米国立衛生研究所(NIH)の職員に報告を送った際、WHOが中国当局と合意するまで情報を(他の組織と)共有しないよう求めた。WHOはメールの中で、「重要:中国側と合意するまでは、これを機密事項として扱い、公開するものではないとお考えください」と強調した。
同年2月15日付の電子メールでは、WHOの駐中国代表ガウデン・ガレア(Gauden Galea)氏は訪中する国際専門家に対して、中国国家衛生健康委員会が滞在中のすべてのスケジュールを決めると伝えた。
同年3月4日に送信された電子メールによれば、中国メディア「財新伝媒(Caixin Media)」の記者、ヅェン・ジャー(Zeng Jia)氏はレイン副所長に対して、WHOと中国当局が共同で発表した症例数は、武漢市衛生当局が報告した症例数と矛盾していると指摘した。
デイリー・コーラー・ニュース財団のイーサン・バートン(Ethan Barton)編集長は、「これらの電子メールは、新型コロナウイルスの流行の初期段階において、WHOがすでに中国当局に情報統制を許したことを反映した」と糾弾した。
WHOは5日、武漢市での現地調査の報告書を今月中旬に公開すると発表した。
(翻訳編集・張哲)