自衛隊と米軍の共同軍事演習「キーンソード21」始まる 中国をけん制

2020/10/27
更新: 2020/10/27

日米が隔年で行う軍事演習キーンソード21(KS21)」が、10月26日から11月5日まで日本周辺海域などで行われる。中国軍によるインド太平洋地域の活動が活発化するなか、日米が共同訓練で軍事力を示し、中国をけん制する狙いがある。

今年の実施場所は、日本本土と沖縄県、鹿児島県の離島や周辺海域の軍事施設を対象としている。キーンソード21は、自衛隊の統合幕僚長が指揮を執り、米印太平洋軍がスケジュールを組み、米太平洋艦隊が主催する実動訓練。

KS21は、武力攻撃事態などにおける日米共同の準備態勢と相互運用性を強化する目的がある。「演習は日米同盟の強さが増していることを明確に示している」と米軍司令官ケビン・シュナイダー空軍中将は述べた。「新型コロナウイルスによる世界的な影響にもかかわらず、日米同盟は衰えることなく、戦い、勝利するための準備を続けている」と付け加えた。

演習には、自衛隊からは統合幕僚監部と情報本部、陸上、海上、航空自衛隊から3万7000人が参加。ヘリ空母かが」を含む艦艇20隻、航空機は170機参加する。

米軍広報によると、米軍側はロナルド・レーガン空母打撃群の護衛駆逐艦や、空母航空団(CVW)、USSアシュランド(LSD 48)、タスクフォース72司令部、第5空軍からあわせて100機以上の航空機が参加。海軍、空軍、陸軍、海兵隊の約9000人が加わる予定。カナダ海軍のHMCSウィニペグ(FFH 338)も参加する。

米軍と自衛隊は、日本の防衛およびインド太平洋地域の危機や有事に対応するために必要な能力を高める目的で、包括的なシナリオで訓練を行う。演習には、水陸両用作戦、陸上、海上、航空作戦のほか、サイバー攻撃の対処や電子戦、宇宙状況監視といった従来の空間以外の攻撃を想定した訓練シナリオも盛り込まれている。

山崎幸二・統合幕僚長は「日本周辺の安全保障状況はますます厳しくなっている。共同演習は日米同盟の強さを示す機会となる」と、「かが」船内でロイター通信に語った。

南シナ海とインド洋のパトロール航行をしている「かが」は、早ければ来年にもF-35ステルス戦闘機を搭載するために改装される予定だ。

菅義偉首相は10月、東南アジアの主要同盟国との関係強化の一環としてベトナムとインドネシアを訪問した。同月初旬には東京で、米国・日本・オーストラリア・インドによる4カ国安保対話(Quad、クアッド)会議が行われている。

さらに、11月に行われる予定の米国、インド、日本による海上軍事演習「マラバール(Malabar)」に、オーストラリアが加わり、クアッドの4カ国軍事演習が実現する。

(翻訳編集・佐渡道世)