中共の統一戦線工作の影響、軽視しないで=米大統領副補佐官が警告

2020/10/26
更新: 2020/10/26

米国のマシュー・ポッティンジャー大統領副補佐官は、民主主義国家は中国共産党の行動を警戒し、ニセ情報の流布や西欧の民主制度への侵害を防がなければならないと主張した。ポッティンジャー氏は、中国共産党の統一戦線工作は、世界各地で静かに展開されており、人知れずに西洋思想と民主主義制度を変えていると強調した。

ポッティンジャー氏は10月23日、英国の有名シンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange)」のイベントにオンラインで参加し、流暢な中国語で講演した。同氏は、情報ネットワークの時代で、民主主義国家は独裁国家から挑戦を受けており、国家の経済力だけが、この戦いの勝敗を分ける唯一の要因ではない、と述べた。

ポッティンジャー氏はかつて、米報道機関の特派員として中国に駐在していた。同氏は、独裁政権は巨大な資源を支配、動員できるため、虚偽の情報を拡散させる能力、西方の世論と認知に影響する能力は軽視できないと語った。

同氏は、1946〜49年に中華民国・国民政府率いる国民政府軍と中国共産党率いる紅軍との間で行われた内戦の歴史を振り返ったとき、紅軍は軍事力以外に、統一戦線の工作が効果的だったと述べた。

中国共産党は思想の浸透と情報操作によって、国民党のエリートを取り込み、国民党の権力基盤を破壊し、政権を奪取した。ポッティンジャー氏は、中国共産党は国民党に対抗するために編み出した一連の統一戦線の手段を西側に使っている。西側市民の情報を広く収集し、各国のエリートを蝕み、社会に影響を与えていると語った。

ポッティンジャー氏は、中国共産党が全世界で実施する統一戦線工作に莫大な資源が投入されており、その人員は、米国務院の人員数の4倍を超えると述べた。

同氏はマサチューセッツ大学を卒業後、中国研究を専攻した。卒業後はロイター通信やウォール・ストリート・ジャーナル紙などで中国駐在記者を務め、中国に10年近く滞在。その後、海兵隊に転身しアフガニスタンやイラクに派遣され、国家安全保障の経験を積んだ。

2017年、ポッティンジャー氏は米国家安全保障会議(NSC)に加わり、国家安全保障戦略文書の起草に参加。中国を米国の戦略的競争相手と明確に位置づけるなど、米国政府の対中政策の変化に重要な役割を果たした。2019年9月、大統領副補佐官に就任した。

2020年5月4日、同氏は中国五四運動101周年に際し、ホワイトハウスからバージニア大学ミラーセンターでの米中関係についてのオンラインセミナーに参加した。その際、「米国の視点から見た中国の五四精神」と題する講演を中国語で行った。米国史上初のホワイトハウス高官による中国語での演説は、中国語圏、特に中国の人々に大きな反響を呼び、動画は100万回以上視聴された。

ポッティンジャー氏は、中国語で演説する理由について、言語上の溝を埋め、世界中の中国の友人に呼びかけるためだ、と述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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