中国データセキュリティ法、在中の外国企業にも影響 専門家「香港国安法と同等の圧力」

2020/10/15
更新: 2020/10/15

中国は今年7月、全国人民代表大会でデータセキュリティ法 (草案)(中国名:数据安全法)を可決し、9月末にも同法実施の促進を図るフォーラムを開催した。専門家は、中国のデータに関する法律は定義があいまいで範囲が広く、在中の外国企業にも政治的な影響を与えると警告している。

データセキュリティ法第2条は、「外国の組織または個人の言論が、中国の国家安全保障と公共の利益を危険にさらし、中国国民や組織の正当な権利と利益を害すると見なされた場合、中国の警察機構または国安当局は『責任を追及する権利』を有する」としている。また、同法第4章第32条では、「中国当局がデータを取得する必要があると判断した場合、関係機関または個人は協力しなければならない」と規定している。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)の上席副所長兼科学技術政策プロジェクトのディレクターであるジェームズ・アンドリュー・ルイス(James Andrew Lewis)氏は同法について、「中国で事業を展開する米国企業に直接的な影響を与えるだろう」と指摘した。

ルイス氏はまた、外国企業は「北京政府と協力しなければならなくなる」とし、この関係は企業活動に問題を引き起こすと懸念している。

トロント大学グローバル・アフェアーズの政治学准教授で、中国問題の専門家でもあるリネット・オング(Lynette Ong)博士も、「もし私がデータ管理会社のCEOなら、中国で事業を続けることに多くの懸念を抱く」と語った。博士は、データ企業は顧客のデータセキュリティに厳しいため「中国から完全撤退せざるをえない」とした。また、外国企業の撤退は中国経済に悪影響を及ぼすとの見解を示した。

オング博士はまた、データセキュリティ法は、香港版国家安全維持法と同様の圧力を外国企業に与えるとみている。このため、企業関係者は事前に中国での活動に自己検閲を行わなわざるをえなくなるという。

さらに博士は、これらの法律は、中国共産党(以下、中共)の威圧的な動きを正当化するためにあると考えている。「たとえ法律がなくても、彼らが何の行動も起こさないというわけではない」と指摘した。

中共が7月にデータセキュリティ法を可決した際、北京の著名な人権派弁護士である謝燕益氏は大紀元のインタビューに対し、この法律は中共が「国家安全保障」の名の下で行う権力拡大の一つであり、全ての人および全ての国の安全を脅かすものである」と警告していた。

(大紀元日本語ウェブ)