「中国に真の同盟国はない」米政権の対中政策ブレーン余茂春氏、習氏の多国間主義主張を否定

2020/09/27
更新: 2020/09/27

米国のマイク・ポンペオ国務長官の中国政策首席顧問で、中国安徽省出身の余茂春Miles Yuマイルズ・ユー)博士は9月22日、珍しく公のイベントに出席し、国連総会で習近平国家主席が提唱した「多国間主義」を否定した。

中国の国営メディアが、近代史における中国民族の最大の反逆者と呼んでいる余茂春氏は、習主席の発言は「自己認識の欠如」から来ていると述べた。

同氏は、中国を統制している中国共産党は北朝鮮、そして「その気がないふり」をしているロシアを除けば、真の同盟国はなく、「孤立している」と話した。

また、香港における中国共産党の「残忍で半ファシスト的な」行動が示すように、中国共産党の信頼性の欠如についても言及した。

これらの発言は、カナダのシンクタンクであるマクドナルド・ローリエ研究所が主催した、中国共産党の香港での政策の意味合いに関するオンラインディスカッションで述べられたものだ。

「共有できる価値観。これが多国間主義の基盤である」と同氏は述べた。

「私たち(米国)にはオーストラリア、日本、英国、カナダ、EU、NATO、ASEAN加盟国などの国がある。私たちはみな同じ価値観を共有している」

余氏は、米国と価値観を共有する世界中の友好国や同盟国に対し、「中国の脅威に対抗するために民主主義の同盟を構築すること」を呼びかけた。

「世界のほぼ全ての自由民主主義国は中国が脅威であると認識している」と同氏は言った。

「中国には真の同盟国として信頼できる国はないということを覚えておいてほしい。だから、昨日、国連で習近平氏が、中国が多国間主義の擁護者だと話したのはとても皮肉なことだ」

余氏は習氏の主張を退け、「自己認識の欠如を完全に反映している」と話した。

余氏はまた、米国は「世界的に実存する中国の課題に直面する際、世界のどの国よりも多元的だ」としながらも、「多国間主義には目標がないといけない」と話した。

米国の前政権が他の5カ国との間で行った多国間協議で、北朝鮮問題が進展しなかったことに触れて、余氏は「パーティー、会話、宴会はうわべの付き合いで、世界のあらゆる問題を解決することはできない」と述べた。

余氏は、ドナルド・トランプ大統領は別のアプローチを取り、金正恩氏と直接話すことを選び、「3年半もの間、彼を無力化した」と述べた。

さらに、「中国と周辺地域における米国の目標は、香港で消滅した自由や法の支配などの価値を守ることだ」 と強調した。

「中国は国際システム全体を、中国の社会主義(中国の特色を持つ社会主義)と世界のその他の国々との終わりのない戦いと見なしている。だから彼ら(中国)は、2つのシステムの体系的、政治的、イデオロギー的な違いを忘れてほしいと思っている」と余氏は話した。

余茂春氏は中国で生まれ、1985年に大学院に進学するために渡米した。同氏は米海軍兵学校 (USNA) の東アジア・軍事・海軍史の教授で、米国国務省内の内部シンクタンクとして知られる政策計画スタッフの主要人物である。

多くの人は、余氏がトランプ政権の対中政策の中心人物だと見ている。ポンペオ国務長官は同氏を「私のチームの中心的存在だ」と評価し、スティルウェル国務次官補は同氏を「国宝」と評価した。

余氏の中国共産政権に対する強硬姿勢は中国を刺激している。

中国共産党は最近、余氏に対して一連の報復措置を講じた。

2020年7月、中国南西部の重慶市にある、余氏の母校である永川中学校は、栄誉ある生徒の名前が載っている壁から、同氏の名前を削り取った。同氏は1979年、中国の文系大学入試で1位をおさめ、その業績が称えられていた。

今月に入って、余氏と同姓の老人らのグループが「余氏は中国への反逆者」だと主張し、「余一族」の家系図から同氏の名前を削除した

余氏は自身のSNSアカウントで、「聞いたこともなければ気にかけたこともない家系図から私の名前を削除するなんてすごく奇妙だ。馬鹿馬鹿しくて笑いにもならない」と投稿した。

「壮大な実験」

22日のオンラインディスカッションで、余氏は1997年以降の香港の状況を「惨めな失敗に終わった壮大な実験だ」と表現した。香港は「中国共産党の信頼性を試す実験」であり、失敗に終わったことで、中国政府は信頼できないことを世界に示した、と同氏は述べた。

1997年、英国が香港を返還した際、中国は「一国二制度」を50年間維持すると約束した。しかし、中国共産党はすでに約束を破り、共産主義と全体主義を香港の人々に押し付けようとしている。

余氏は、中国共産党の「一国二制度」は「内面の矛盾」を抱えた「破産したアイディア」だと見ている。中国にとっての「国家統一」は、「政治的自由」なくしては意味がないと指摘し、東西ドイツの統一や朝鮮半島を例に挙げた。

「全体主義体制の下では人々は統一されないだろう」と同氏は話した。

同氏はまた、「香港の人々は、自然統一の名の下の共産主義独裁体制ではなく、自由と法の支配の体制を選んだと思う」と付け加えた。

同氏は、中国共産党が民主主義を残忍に弾圧し、香港に国家安全法を課したことで、香港での「一国二制度」モデルが「台湾への模範的な影響」を完全に失ったと述べた。

(大紀元日本ウェブ編集部)