米国、無人航空機を東南アジア4国に支援 防衛能力を強化

2020/07/16
更新: 2020/07/16

米国防総省は、インド太平洋諸国の同盟国や友好国の4カ国に対して、それぞれの諜報・監視・偵察機能を強化させるため、無人偵察機を提供する。

防衛情報誌「JANES」によると、米国防総省はマレーシアフィリピンベトナムインドネシアの4カ国の海軍に対して、東南アジア地域の海上安全保障強化のために、支援の枠組み「南シナ海海洋安全保障イニシアチブ(South China Sea Maritime Security Initiative, MSI)」を立ち上げた。今年5月、最初の納入となる偵察機スキャンイーグル(ScanEagle)6機がマレーシアに引き渡された。

スキャンイーグルは、ボーイング社および無人航空機を設計・製造する同社の子会社であるインシツ(Insitu)社が共同生産する無人機だ。無人機1台あたり約1億4000万円(約140万米ドル)で、米国がMSIプログラムに沿って全額支援している。

同省は無人偵察機を4カ国にあわせて34機を提供する。マレーシアに12機、インドネシアとフィリピンにそれぞれ8機、ベトナムに6機となっている。すべて南シナ海の海上安保活動に使用される予定。在マレーシア米国大使館は、マレーシア海軍は無人航空機を使用して「自国の領土保全を遂行する能力」を強化するとコメントを出している。

マレーシア現地紙のニュー・ストレーツ・タイムズは、無人航空機を使う同海軍は、マラッカ海峡、南シナ海、スールー海に沿った戦略的航路の哨戒能力を補完できると報じた。

2月、インドネシアの国防副大臣サクティ・ワヒ・トレンゴノ(Sakti Wahyu Trenggono)氏は、スキャンイーグルの受け入れにより、海軍の防衛装備を強化できるとコメントを発表している。

戦略国際問題研究所(CSIS)によると、東南アジア地域の4カ国は、中国船舶による領海や排他的経済水域(EEZ)への侵入、海上における犯罪集団や海賊による武力攻撃のほか、熱帯性暴風雨、津波、地震などの自然災害の脅威にさらされている。

米軍紙によれば、高解像度のビデオカメラを搭載したスキャンイーグルは、電子光学センサーや赤外線センサーを使い分ける。このため、静止物体も移動物体も監視できる。全長1.7メートル、翼幅3.1メートルと小型設計で、さまざまなタイプの船舶に搭載でき、発進させ、回収できる。

(翻訳編集・佐渡道世)

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