政府は700億円近くを投じて、国内の電子通信事業者に補助金を出し、次世代通信規格5Gの開発に乗り出している。
NHK6月29日付によると、NEC、富士通など複数の技術企業は、国内の5G事業展開に向けた取り組みを進めている。5Gや「ポスト5G」の技術開発は、日本政府ファンドの「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が支援するという。
NECとNTTは6月中旬、5G技術開発を協力することで合意した。 NECや富士通も、5Gの運用ライセンスを申請している。
政府は5月、すべての独立行政法人と個人情報を扱う政府指定の法人に対し、重要な通信機器を調達する際に安全保障上のリスクを考慮するよう求めた。昨年、各省庁に対して同様の措置を求めた。米トランプ政権に足並みをそろえて、華為技術など中国製情報通信機器の使用制限を強化した格好だ。
米マイク・ポンペオ国務長官は6月24、25日、華為技術の5G技術のセキュリティに関する公聴会を開いた。華為技術による情報安全の危険性を認識した各国は、華為の排除に動いている。
中国国内法によれば、中国でインターネットサービスを運営する国内外の企業は、民間・国営を問わず、政府にデータを提供するよう義務付けられている。
英紙タイムズ5月29日付によると、英国政府に10カ国の民主主義国家による通信分野の枠組み「D10」を結成する計画があるという。10カ国が連携して5G技術や通信機器を開発する。D10は、日本と米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、インド、韓国が加わるとされる。
米国務省は最近、欧米の複数の企業をリストアップした「クリーンネットワーク」を発表した。リスト入りした企業を、「中国共産党のような権威主義的な政府による、不当で超法規的な管理を受けず」信頼できる技術を提供しているとみなしている。これには、日本のNTTとKDDI、フランスのOrange、英国のO2 、インドのJio、オーストラリアのTelstra、台湾の中華電信、韓国のSKなどが含まれる。
米国務省は、このリストにある24企業を「重要な通信、データ分析、モバイルアプリ、モノのインターネット、5G技術を悪質な行為者から保護できる」と認定している。
米国務省の要請を受けたシンクタンク「戦略国際問題研究センター(CSIS)」の25人の専門家グループがリストを作成した。
2019年5月、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)を含む世界30カ国以上の政府関係者および大手技術企業関係者が、5Gベンダーの評価基準を議論した。重要な国家安全保障、経済、商業上で考慮するうえでの基準となる「プラハ提言」を発表した。今回の国務省の作成した「クリーンネットワーク」のリストは、この提言がひとつの基準となっている。
(翻訳編集・佐渡道世)