中国、東シナ海で50の海底名称発表 日本の尖閣周辺EEZを含む 領有権の既成事実化狙う

2020/06/25
更新: 2020/06/25

中国政府はこのほど、東シナ海にある50の海底地形の新たな名称のリストを発表した。そのなかには、日本の沖縄県石垣島にある尖閣諸島を、中国政府が主張する「魚釣島」と付けたものが含まれる。石垣市議会は尖閣諸島を管理する行政地域に尖閣を字名にする法案を可決しており、中国はこれに対抗した格好だ。

中国政府は東シナ海や南シナ海の係争地域を、名称を付けるなど行政地域として定めることで領有権を既成事実化する狙いがある。中国の天然資源部は4月下旬、南シナ海にある55の海底地形の新たな名称を発表した。これらの多くはベトナムの排他的経済水域(EEZ)にあり、以前から続いている係争地域の中国調査船の活動域と一致している。

南シナ海の例と同様に、日本のEEZを含む尖閣諸島の近くの50の海底地域を同部が識別し、位置を特定する目的があると説明している。

海底地形の名称は、尖閣諸島を中国名としている「釣魚島」「赤尾嶼」の一部を入れた「釣魚海底峡谷群」「釣魚窪地」「赤尾海嶺」など。発表された座標によれば、これらの海底地形には日本のEEZが含まれていることがわかる。

石垣議会は22日、尖閣諸島の字名を「登野城(とのしろ)」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決した。中国の外務省報道官は「違法で無効」だと反発し、「中国の領土主権に対する深刻な挑発」と声を荒げた。

中国と日本の間の緊張は、最近の数週間で激化している。防衛省のプレスリリースによると、6月18日、中国軍とみられる潜水艦が、鹿児島県奄美大島北部の接続水域を通過した。また、石垣市の議案が可決した翌23日にも、中国海警局の公船4隻が、尖閣諸島周辺の領海に侵入した。

日本の海上保安庁が22日に発表したデータによると、中国は4月中旬以降、尖閣諸島周辺で領海侵入や接近が続いている。また2020年を通して、日本の海域に入る中国政府の船舶と沿岸警備隊の船舶の数は過去最多となった。防衛と国家安全保障を専門とする情報会社JANESによると、1月1日以来、中国政府の船舶が尖閣諸島の沖合には495回も接近したという。そのうち11回は領海侵入している。

中国は、南シナ海のほとんどの海域を「歴史的権利」と主張してきたが、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は中国の主張を退けた。2016年、南シナ海に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとして、フィリピンが中国を相手に提訴した裁判で、裁判所は中国の主張に法的根拠がないと判断を示した。しかし、中国は「裁判所の判断を認めない」として、いまもなお継続的で積極的な南シナ海における活動域の拡大を図っている。

いっぽう、米海軍第7艦隊は23日、南シナ海で海上自衛隊と二国間演習を実施した。第7艦隊が発表した声明によると、フレッド・カチャー少将は「海上で友人や同盟国と行動する機会は、私たちの複合的な準備とパートナーシップにとって非常に重要である」とした。さらに、「同盟国である日本の海上自衛隊と、協力的で複雑な海上オペレーションを実行することで、両チームは自由で開かれたインド太平洋を維持し、相互運用性と即応性を高めることができる」と述べた。

自衛隊プレスリリースによると、練習艦隊司令官・八木浩二海将補は「実習幹部たちは、基本的な海事技能を磨いただけでなく、アメリカ海軍との相互運用性を向上させることの重要性を学ぶことができた。共同訓練がアメリカ海軍とのパートナーシップを強化し、この地域の平和と安定を促進するための基礎づくりに役立つことを、実習幹部諸君が理解してくれることを願う」とコメントしている。

今回の訓練には、自由で開かれたインド太平洋地域の維持を目的とした定期哨戒のため、東南アジアの南シナ海周辺で活動中の沿岸戦闘艦「ガブリエル・ギフォース」と、海上自衛隊の訓練船「かしま」「しまゆき」が参加した。声明によると、3隻は隊列を組んでの戦術運動や、通信訓練を行った。訓練目標は、米海軍と自衛隊の次期幹部候補生との間の相互運用性を構築することだという。

6月中旬、米下院の共和党議員13人は国家安全保障と外交問題に関する作業グループを形成した。13人が作成した政策提言報告書には、国際秩序を侵食し破壊しようとする中国の動向を分析している。ここには、日本が領有権を宣言する尖閣諸島について、中国は「軍事手段を含む侵略的な侵入」があり、「平和と安定を脅かす」として、中国の主張に反対を表明している。

さらに報告書は、南シナ海、東シナ海での暴言に加わる中国側の組織や個人に対して、組織や個人の米国内での資産の没収や凍結、入国禁止をするよう、米国政府に提言している。

(翻訳編集・佐渡道世)

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