フランス・パリに本部を置く国境なき記者団(RSF)はこのほど、中国当局に対して、武漢市中心医院に勤務する女性医師、艾芬(ガイ フン)氏の近況を明らかにするよう求めた。中共肺炎(新型コロナウイルス感染症)をいち早く警告した艾医師は3月、中国メディアの取材で当局の情報統制を批判した後、約2週間消息不明となっている。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が4月13日報じた。
艾医師は昨年12月末、原因不明の肺炎を発症した患者について、重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスに感染した可能性があるとして、同僚に警告をした。この後、同病院の眼科医の李文亮氏が、大学同級生のチャットグループでこの情報を共有した。武漢市警察当局は1月初め、李医師ら8人に訓戒処分を科した。艾医師も、病院側の党規律委員会に「最も厳しい叱責」をされたうえ、原因不明の肺炎について口止めされた。李文亮氏は2月7日、中共肺炎で死亡した。
3月10日に発売された中国誌「人物」は艾医師の取材記事を公開した。取材中、艾氏は中国当局の情報統制を批判した。のちに同記事はネット上から削除され、「人物」誌も書店から消えた。
豪テレビ放送局「ナイン・ネットワーク」の時事番組「60ミニッツ」が3月29日、各国メディアの中で最初に、艾医師が消息不明になったと報道した。
VOAの報道によると、艾氏の家族と同僚は、インタビュー記事が理由で同氏が拘束されたのではないかと不安に思っている。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)も艾医師と連絡が取れないと示した。
一方で、艾医師の中国SNS「微博」のアカウントでは、投稿が更新されている。VOAは、投稿は艾氏本人が行っているかは「疑わしい」とした。「中国警察当局は、拘束者にSNSアカウントのパスワードを教えるよう強要しているからだ」
(翻訳編集・張哲)
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