中国コーヒーチェーン大手「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」は4月2日、プレスリリースを発表し、2019年の売上高を改ざんしたなどの不正行為があったと認めた。同日、米株式市場では、同社の米国預託証券(ADR)は一時、前日比81%安となった。今後、上場廃止の可能性があると指摘された。
2日の発表によると、同社の劉剣・最高執行責任者(COO)と複数の社員が、2019年4~12月までの売上高を約22億元(約336億円)過大報告した。一部の経費と費用も水増しされたという。
同社の発表を受けて、米株式市場では、瑞幸珈琲の株価が急落し、ストップ安が8回もあった。終値は前日比75.57%安の6ドル40セントを付けた。
ラッキンコーヒーは2018年1月、北京に1号店をオープンして以来、現在全国で4500店舗を持つまでに成長した。4300店舗の米コーヒーチェーン店大手スータバックスを上回り、「中国のスタバ」と呼ばれている。低価格のほか、アプリで注文し、配達も可能など便利さを売りにしている。
粉飾発覚の発端となったのは米マディ・ウォーターズ・キャピタルの市場調査部門に送られた89ページに上る匿名の報告書だ。1月31日に公開された同報告書は、ラッキンコーヒーは2019年7~9月期、10〜12月期に売上高をそれぞれ69%と88%粉飾したと指摘した。
報告書は、981店舗の来店客数を監視カメラで1万時間記録したほか、2万5千枚のレシート、SNS微信(WeChat)の会話記録を集め、分析した結果、ラッキンコーヒーは商品販売数、販売価格などを改ざんしたと指摘した。
ラッキンコーヒーは2月3日の声明で、粉飾決算を否定した。
現在、米ポメランツ法律事務所(Pomerantz Law Firm)など複数の法律事務所は、ラッキンコーヒーの株主を代理して集団訴訟を起こすと公表した。
中国メディア・騰訊財経によると、国内の専門家は、ラッキンコーヒーは今後、米国内で法的な損害賠償措置に直面するほか、米株市場から上場廃止にされる可能性が高いとの認識を示した。損害賠償規模が約112億ドル(約1兆2144億円)にのぼるとみられる。一部では、巨額な賠償を支払えないため、ラッキンコーヒーは経営破たんになる可能性もあるとの見方が出ている。
中国北京に本部を置くラッキンコーヒーは2017年6月に設立され、2019年5月、米ナスダック市場に新規株式公開を果たした。上場初日の終値は、公募売り出し価格の1株=17ドルを上回り、1株=20ドル38セントを付けた。
(翻訳編集・張哲)