ホワイトハウスが今月、マイク・ペンス副大統領がコロナウイルス対策チームのメンバーを率いて国民の安全とコロナ対策の成功を祈願している写真を公開した際、世俗的なメディア批評家は憤慨した。
ネットはすぐにコメントで溢れた。
雑誌「ニューヨーク・タイムズ」と「ハーパーズバザー」のライター、トーマス・チャタートン・ウィリアムズ(Thomas Chatterton Williams)氏のこのツイートが典型的な例だ。「マイク・ペンスとコロナウイルス緊急チームは解決策を祈っている。私たちはもう終わりだ」
同様に、米テクノロジーメディアサイトである「ギズモード(Gizmodo)」の編集者マット・ノバク(Matt Novak)氏もツイッターで、「マイク・ペンスはいつでも好きなときにお祈りをして構わないけど、CDC(米疾病対策センター)所長やファウチ博士のような人たちを率いてコロナウイルス対策チームの会議でお祈りをするのは変だと思う」と書いている。
しかし、ペンス氏には強力な支持者もいた。
福音派のキリスト教徒が運営する緊急援助支援団体サマリタンズ・パース(Samaritan’s Purse)の創設者、フランクリン・グラハム(Franklin Graham)氏はツイッターで、「ペンス副大統領と大統領のコロナウイルス対策チームが先週、お祈りをしている感動的でパワフルな写真。ペンス副大統領と、国民に奉仕してくれている一人一人に感謝します。彼らと一緒に、神様がウイルス対策の知恵と方向性、そして助けを下さるようお祈りしましょう」と書いている。
米誌「The Atlantic」の寄稿者であるジョナサン・メリット(Jonathan Merritt)氏はウィリアムズ氏のツイートに返事し、「ペンス氏のコロナ対策をいくら批判しても構わない。しかし、この3カ月間で米国人の79%が何らかのお祈りをしている中で、彼のお祈りをからかうようなことをするから、多くの米国人は自由主義者を軽蔑しているんだ」と述べた。
ペンス氏のお祈りの写真が公開された数日後、ドナルド・トランプ大統領は3月15日を「国民祈りの日」と宣言した。何百万人もの米国人が、ネットの教会礼拝、家族の祈祷会、そして個人で参加し、神へ祈りを捧げた。
「私たちの国は歴史を通じて、このような時に神にご加護と力を授けてくれるよう求めてきました」とトランプ氏はツイートした。「あなたがどこにいようと、信仰に基づいた祈りを捧げてください。私たちは一丸となって、容易く勝利を収めるでしょう!」
このような日を宣言した大統領はトランプ氏が初めてではない。フランクリン・D・ルーズベルトは、ヨーロッパのノルマンディー上陸作戦が始まった数時間後に、全国向けのラジオ放送で自ら国民を率いて祈り、南北戦争中のエイブラハム・リンカーンの感謝祭のスピーチは祈りへの招待だった。
最初の「国民祈りの日」は、大陸会議によって1775年7月20日と宣言された。そして、正式な国民祈りの日は、大統領が署名した議会の法令によって、毎年5月の第1木曜日に指定されている。
今日に至るまで、上院と下院の議員は毎日、それぞれの教誨師に率いられて開会の祈りを行っている。つまり、米国は建国以前から公式に祈りを捧げてきたのだ。
米国人は長い間祈りを捧げてきたし、今もそうだ。 米キリスト教調査機関「バーナ・グループ」(Barna Group)が2017年に成人1015人を対象に行った調査によれば、79%の米国人が過去3カ月間に少なくとも一度は祈ったことがある。
同じ調査で、「定期的に祈る米国の成人はさまざまなことを祈り、最も一般的なのは「感謝の気持ち」をささげることである(62%)。世代別では、ミレニアル世代(53%)が最も低く、ベビーブーマー世代(71%)が最も高い」ことが分かり、同調査ではまた、61%の人は家族やコミュニティのニーズのために祈るという結果が出ている。
バーナ・グループのロクサーヌ・ストーン編集長によると、この調査で「祈りは米国人の間で最も一般的な精神的行いである。米国人の大多数は、宗教の有無や種類に関係なく、何らかの祈りの活動に参加している。バーナの調査によると、これは過去数十年間一貫している」ことが分かったという。
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