イネ科やキビ、トウモロコシの重要害虫のひとつ、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera litura)が中国8省で確認された。中国農業農村部によると、冬と春の気温が高い今年は、昨年よりも被害が大きくなる見込みという。
農業農村部栽培管理部長の潘文博氏は3月5日の記者会見で、ツマジロクサヨトウが中国の作物栽培を脅かし始めたと述べた。今年3月の時点で、すでに影響規模が昨年被害の1600万ムー(10672㎢)に達しているという。
中国農業技術網によると、ツマジロクサヨトウは雲南、広東、海南、広西、福建、四川、貴州、江西など8省の228県で確認された。雲南省では9割のトウモロコシ生産地域で影響を受けている。
アメリカ大陸の熱帯および亜熱帯地域に発生するツマジロクサヨトウは、食欲が旺盛で繁殖力も強く、トウモロコシのほか、水稲、キビ、サトウキビ、野菜、綿花など、80種以上の作物を食害する。
気温が上がる春に成長速度が増し、約1カ月で一世代の繁殖を行う。昨年の台湾農業委員会によると、群れの移動速度は早く、中国では昨年1月に初めて侵入し、モンスーン発生時期から移動が加速。5月半ば~6月下旬の1カ月半あまりで米国からアフリカ、アジア、台湾への移動と被害が報告された。
日本の農林水産省によると、ツマジロクサヨトウは一世代で500㎞、一晩で最大100㎞移動する。日本では2019年7月、鹿児島県南九州市内で国内で初めて報告され、11月ごろまで東北地方で広がりが確認されている。今年もすでに、沖縄県と鹿児島県の一部で報告されている。
中国メディアは2月、 2020年のツマジロクサヨトウの影響範囲は8000万から1億ムー(5万3360〜6万6700㎢)の農地に達する可能性があると推定している。
(翻訳編集・佐渡道世)
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